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2008年08月31日(日) 21時13分

デモによる混乱の打開策見えず タイ上下両院会議産経新聞

 【バンコク=菅沢崇】タイ首相府前などで続く「民主主義のための市民同盟」(PAD)によるデモの混乱を打開するため、タイの上下両院は31日、特別会議を開いた。野党民主党議員は、解決策としてサマック首相の辞任を求めたが、首相は辞任を拒否、反論し、具体的な解決の見通しが立たぬまま会議は紛糾した。

 会議で、民主党のジュリン副党首は「与党による憲法改正の動きや、デモの報道を封じようとした首相のメディア制御が、デモの深刻化の原因だ」と述べ辞任を迫った。しかし、サマック首相は「私は選挙で選出された。辞任はしない。憲法改正論議も正当性がある」と反論を続けた。

 会議に先立ち、サマック首相は同日朝のテレビ番組で、PADのデモを不法行為とみなし非難。武力排除はせず、非常事態も宣言しないとの方針を表明したが、政府も裁判所も沈静化への有効な手だてが見出せていないことも認めた。

 PADによるデモは夜間には約3万人規模にまで拡大している。30日夜には民主党下院議員も演説に加わり衰えの気配はない。2日間、閉鎖が続いたプーケット国際空港など南部2空港は3日目に運行を再開したが、国鉄は31日も一部で運休した。一方、PADの活動に反発する政府支持派も同日、数千人規模の集会を開くためバンコクの王宮前広場に集結し始めた。

 国民の力党など与党の連立6党は30日夜、サマック内閣支持を改めて強調し結束を確認した。だが水面下では、首相退陣も視野に入れた後継者の選出も取り沙汰され始めている。

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