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2008年08月30日(土) 18時14分

缶ビール、牛丼、冷蔵庫、自動車… 9月も続く値上げラッシュ産経新聞

 エネルギーや原材料の高騰を受けて「値上げラッシュ」となった7、8月に続いて、9月も食品や飲料、自動車といった商品で値上げが相次ぐ。家計のやりくりはますます厳しさを増しそうだ。
 景気の下支えが狙いの総合経済対策もどれだけ即効性があるかは不透明で、値上げで景気が一層悪化する可能性もある。
 ただ、節約志向を強める消費者を呼び込もうと、外食業界の一部では値下げに踏み切る動きも出ている。最近の原油価格の下落傾向から、ガソリン価格や電気料金も9月は引き下げられる見通しで、負担が和らぐ部分もありそうだ。
 ビール大手4社の中で唯一、缶入りビール類の値上げを見送っていたサントリーは9月から缶ビールを3〜5%値上げする。明治乳業や森永乳業もチーズなどの価格を引き上げる。
 牛丼チェーン「松屋」を運営する松屋フーズが牛めしなどを20〜40円値上げ。トヨタ自動車はハイブリッド車「プリウス」など2車種の価格を平均3%上げる。
 また、自動車にも、値上げの波が広がる。トヨタ自動車は9月1日からハイブリッド車「プリウス」や一部の商用車など10車種の国内販売価格を1・0〜4・1%値上げする。モデルチェンジを伴わない乗用車の値上げは第1次石油危機時の昭和49年以来、実に34年ぶりだ。
 このほか家電製品では、主原料の金属や樹脂の価格高騰によるコスト増を理由に、冷蔵庫やエアコンの値上げが続く。三菱電機が今秋発売する冷蔵庫を約1万円(3〜5%)、エアコンは家庭用、業務用の両方で10%前後値上げする。同様に日立アプライアンスや東芝ホームアプライアンスも値上げに動く。
 一方でレギュラーガソリンの全国平均小売価格は、一リットル当たり170円台後半に下がりそうだ。電気料金は、関西、中国など西日本の電力5社が、料金体系の本格改定に伴って引き下げる。標準的な家庭で月額数十円程度の値下げとなる。
 食料高で今年春にメニュー価格を引き上げたファミリーレストラン業界では、低迷する売り上げを回復させようと、デニーズが9月11日から一部の料理やドリンクを10〜110円引き下げる。
 食品業界に詳しい野村証券の山口慶子シニアアナリストは「なお高水準で推移している原材料価格を考慮すると、値上げによる減収よりコスト高の方が減益要因として重い」と指摘。第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストは家電業界について「価格転嫁はやむを得ず、今後他メーカーも続々と追随する可能性が高い」と話している。

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