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2008年08月30日(土) 02時05分

<東海豪雨>県管理河川、改修済みは52% 被害止めきれず毎日新聞

 記録的な豪雨に襲われた東海地方では、河川改修が進んでいない愛知県岡崎市で濁流などにより東海豪雨時に迫る1318棟(29日午後9時半現在)の床上・床下浸水被害が出る一方、東海豪雨後に大規模な河川改修が行われた名古屋市の被害は比較的少なかった。被害の拡大を防ぐため、行政が想定外の自然災害にどう向き合うべきかが改めて問われている。

 岡崎市は東海豪雨後、市内6地区に小型排水ポンプを設置し、小学校2校の地下に各1000トンの雨水貯留施設を作るなどの水害対策に取り組んできた。同市の07年度の下水道普及率は県内の市で3番目に高い76.2%で、排水対策も進んでいる。だが今回、東海豪雨時の床上・床下浸水被害(1607棟)とあまり変わらない被害が出た。

 水害の主因となった伊賀川(全長約5キロ)など1級河川の管理者は県で、市独自の対策には限界がある。県河川課によると、伊賀川の改修計画は1977年に策定されたが、大正後期ごろに建てられた堤防上の民家との立ち退き交渉が進まず、改修は進んでいない。

 県全体でも、県管理の294本の河川の改修対象(約1300キロ)のうち現在、改修済みは52%に過ぎない。同市の南に隣接する幸田町の広田川の堤防は今回、東海豪雨で破堤した地点から約200メートル下流で再び破堤した。やはり改修のための用地買収などに手間取っている。

 県の河川改修計画は、5年に1度の降雨と言われる時間雨量47ミリに対応するのが目標だ。だが今回、岡崎市を146ミリという記録的な豪雨が見舞った。同課の担当者は「限られた予算の中、改修が進まない現実がある。しかし、改修が仮に済んでも今回のような豪雨が来ればどうしようもない」と強調する。

 一方、東海豪雨で4人が死亡、3万1670棟の床上・床下浸水被害が出た名古屋市では、国と愛知県が中心となった激甚災害対策特別緊急事業で水害対策を進めた。04年度までに市内の新川のほか庄内川、天白川の改修に計約1000億円が投入された。

 今回、名古屋市内の床上・床下浸水被害は648世帯(同)。同市河川計画課の担当者は「改修の効果は大きい」と語る。【月足寛樹、安達一正、影山哲也】

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