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2008年08月29日(金) 13時30分

ジンバブエになぜ超インフレは起こったのかR25

アフリカ南部の国・ジンバブエが揺れている。ジンバブエ中央銀行の7月の発表によれば、同国の年間インフレ率は220万%を記録した。現金不足に対応するため1000億ジンバブエドル札も登場したが、その後、通貨単位を100億分の1に切り下げる政策が実施された。近年、世界中でインフレが問題になっているとはいえジンバブエはあまりに極端だ。一体何が起きているのか。

報道によれば、同国の通貨問題は政治の混乱に原因がありそうだ。現在、政権を握るムガベ大統領は、30年近く独裁体制を敷き、これまでも野党勢力への迫害を行ってきた。また、現在の経済的苦境の原因の1つとされているのが、農業政策だ。大統領は99年に他国への派兵を行ったが失敗。それに対する批判をかわすため、2000年、大統領は農場から白人農場主を追い出した。だが結果、農業技術が失われ食糧生産が激減。食糧価格が高騰し、世界最悪のインフレを招いた。ジンバブエで児童の就学支援を行っている「ジンバブエ友の会」代表・林本久美子氏が現地の状況を話す。

「停電、断水は毎日のことですし、店に行っても物はありません。ただ、多くの人々は庭に野菜を植えて、何とか暮らしています。なので、インフレといってもお金を使う場面がほとんどありません」

だが、失業率は80%を超え、WHO(世界保健機関)の報告によれば平均寿命は36歳で加盟国中最低と、経済・社会状況が厳しいことに変わりはない。打開策はないのか。

「ジンバブエ人は争いごとを望まない国民性です。一般の人は政治的な話題を口にすることも少なく、反政府デモも起こりません。国際社会では国連が政治に介入すべきという意見もありますが、彼らは『ここは僕たちの国だ』と言っています。彼らのことは彼らに任せるしかないのでは?」

現在、ジンバブエでは与野党が話し合いをし、連立政権への機運も見えてきた。ジンバブエ人の手による再建を世界が見守っている。
(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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