記事登録
2008年08月29日(金) 08時26分

苦境の航空貨物 需要増大も燃料高が収益圧迫、景気減速で荷動き鈍化の懸念フジサンケイ ビジネスアイ

 国内航空貨物輸送が苦境に立たされている。10月には3年前に鳴り物入りで参入した佐川急便グループのギャラクシーエアラインズが撤退する。ネット通販の普及などに伴い早く荷物が届く航空輸送の需要は増大しているにもかかわらず、燃料費の高騰が収益を圧迫しているためだ。さらに、国内景気が後退局面に入るなか、「荷動きが鈍り、需要が減退に転じるのでは」との懸念も出ており、環境は厳しさを増すばかりだ。

 「ギャラクシーも狙いは良かったのだが」。業界関係者はこう振り返る。

 空陸一貫体制による翌日配送に対するニーズは強く、航空輸送は、ここ数年、増加傾向が続いてきた。実際、ギャラクシーが撤退する一方で、新規航空会社のスターフライヤーと物流大手の福山通運は8月から翌日配送地域を拡大するため、羽田−北九州間の航空貨物便の運航に乗り出している。

 ただ、運航機がわずか2機しかなく、燃料や補修部品の調達面でのコスト高が致命傷となったギャラクシーと同様のリスクもつきまとう。

 佐川急便の持ち株会社SGホールディングスの近藤宣晃取締役は「燃料高騰と整備費用などのコストが想像をはるかに超えた」と誤算を認める。ギャラクシーの関根眞二社長も「売り上げは計画をほぼ達成していた」と悔しさをにじませた。

 主に旅客機の貨物スペースを使って貨物輸送を展開し、全国的なネットワークを持ち規模のメリットを発揮できる日本航空や全日本空輸ですら、燃料高騰と競争激化で苦戦を強いられているのが実情だ。

 両社は今年4月に国内線の貨物運賃を引き上げたが、運賃の安いトラックに顧客を奪われ始めている。全日空では、路線ごとの運賃から全国を10ゾーンに区分して運賃を設定する「ゾーン型運賃」を導入し、値上げの影響を抑えるなど、顧客流出阻止に躍起だ。

 景気後退という新たな懸念材料ものしかかる。需要は依然として底堅く推移しているものの、「産業活動の停滞による荷動きの鈍化が予想される」(日航)との不安視する声は多い。顧客サイドのコスト意識も強まっており、トラックへの顧客流出が本格化する懸念も出ている。(橋本亮)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080829-00000001-fsi-bus_all