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2008年08月29日(金) 22時09分

【姫乱心ドキュメント】美容院?いや捜索願だ!…“血判”も一夜で水に産経新聞

 新党「改革クラブ」(渡辺秀央代表)へ参加をドタキャンし、一転、民主党に残留することになった姫井由美子参院議員。新党側は「民主党による圧力を強く批判する」(改革クラブ声明)と反発するが、民主党が菅直人代表代行らの説得で巻き返した形だ。「姫、変心、乱心」の24時間ドキュメント。さすがの永田町関係者もあいた口がふさがらない!?

  ■写真■姫井氏の離党撤回会見

 29日午後3時、国会近くの憲政記念館での「改革クラブ」の結党記者会見に出た記者団は首をひねった。話題の中心だった姫井氏が姿を見せず、財務・党紀委員長、女性局長の肩書が記された姫井氏の席は最後まで空席だった。

 渡辺氏は記者団に、意外な説明を始めた。

 「姫井さんは(会見のため)美容院の方をホテルに呼んでいたが、お見えにならなかった。どうなっているのか。私たちは一昨日とさきおとといに署名し捺印(なついん)した。血判と同じだ。信頼は揺らいでいない」

 だが、そのころすでに姫井氏は民主党の説得に応じていたのだ。

 渡辺氏や姫井氏ら新党メンバーは28日夜、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで食事をしながら会見の打ち合わせを続けた。29日午前零時ごろに会合を終え、姫井氏はタクシーでホテルを後にした。これが新党側が姫井氏と接触した最後だった。29日朝から連絡が取れなくなったのだ。

 午前10時、姫井氏は地元岡山の秘書に電話した。

 「菅さんから『(結党の)会見に出るな』といわれて困ってるのよ」

 秘書はあわてて東京の渡辺氏らに連絡。渡辺氏らが姫井氏の携帯電話を鳴らしても連絡が取れなかった。

 「今まで、携帯したら一発で返ってきたのに…」

 渡辺氏らは悪い予感を抱いたまま、結党会見に臨み、その後、警察に姫井氏の捜索願まで出した。

 一方、民主党も必死だった。党の方針に再三造反してきた渡辺、大江両氏の離党は想定内だったが、姫井氏の離党は不意打ちだったからだ。自民党側が放言したように「離党の第2弾」があれば大打撃になる。

 姫井氏は硬い表情で、午後6時半から、民主党本部で記者会見した。白いスーツ姿ながら髪はぼさぼさ。「有権者や民主党関係者に迷惑をかけ、心からおわびしたい。深く反省している」と語ったが、記者団からは「説明がつくのか」と厳しい質問が飛んだ。

 会見場では菅氏や輿石東参院議員会長、鳩山由紀夫幹事長が疲れきった表情で見守った。会見が終わったとたん、鳩山氏は初めて笑顔を見せた。

 菅氏は記者団に「今朝、姫井さんから電話があった。午後に輿石さん、鳩山さんも交え、4人で話し合った。私は『普通の見方では自民党が民主党から引き抜いたように見える』と言ったんだ」と語り、説得の一端を明らかにした。

 姫井氏の離党を歓迎していた政府高官は「(テレビの会見中継を)30〜40秒だけ見たけどばからしくなって消したよ。あんな人と政治をやらないといけない人はかわいそうだね。支持者も砂をかむ思いでしょ」と述べ、肩をすくめた。

 (民主党取材班)

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