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2008年08月28日(木) 12時00分

「キッチンペーパーもそのまま防水化可能」、英企業が商用化WIRED VISION

Brian X. Chen

ある英国の企業が、あらゆる素材を完全に防水仕様にするという技術を開発し、すでにスポーツウェア・メーカーの製品にも提供開始している。

英P2i社は8月27日(現地時間)、家庭用のキッチンペーパーなどの非常に吸水性の高い物質でも完全防水にできるという化学処理を実演した。

『ion mask』と呼ばれるこの処理では、素材の上に水をはじく膜を作る。

[同社サイトやRegister Hardwareの記事によると、特許のプラズマ技術を利用して、水をはじく分子を素材に化学的に結びつけることで、数ナノメートルの薄い保護層を形成。「外観やデザイン、感触などを変更せず処理が可能」という。防水化が可能なのは、金属やガラス、繊維、紙など広範囲にわたり、電子製品を防水化する技術開発も計画しているという]

1ヵ月ほど前の記事で、電子機器を完全防水仕様にするという同様のサービスを提供する『Golden Shellback』(日本語版記事)について書いた[開発元は、海事関連の教育・訓練・開発機関であるNortheast Maritime Institute]。加工して欲しい機器を開発元に送付すると、有料でコーティング処理を施してくれるというものだ。

P2i社がGolden Shellbackと大きく異なるのは、同社が英Hi-Tec社などのスポーツウェア・メーカーと協力して、このコーティングをスポーツ用品に適用している点だ。

P2i社のion maskは、当初は英軍の軍用品向けに開発されたが[すでに英軍に採用されている]、現在では完全防水のハイキングブーツやランニングシューズといった消費者向け製品にも提供されている。

P2i社が——張り合うつもりがあるならGolden Shellbackの開発元も——他のメーカーとも手を組んでくれることを期待する。たとえば、新しいノートパソコンや『iPod』を買うときに、「完全」防水オプションが一般的になっているなどということも、近い将来に実現するのかもしれない。しょっちゅうコーヒーをこぼしている私にとっては、心強い話だ。

Register Hardwareの『英国の専門家があらゆるものを「完全防水」にする処理を開発』を参考にした。

[ガラス粉末によるコーティング素材を使い、表面をナノスケールで鋭くとがらせて水の表面張力を増幅させ、超疎水性を獲得。衣類から船舶や橋まで様々な製品の防水加工素材として実用化が期待されているオークリッジ国立研究所の研究についての日本語版記事はこちら]

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080828-00000003-wvn-sci