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2008年08月28日(木) 11時27分

白いごはんが食べられない!?オーマイニュース

 仕事で子どもを対象とした食育にかかわっていたとき、白いごはんが食べられない保育園児と出会った。その子の給食の食べ方は、まず、おかずだけを食べてしまい、最後に白いごはんを嫌がりながらほんのひと口食べて残す、を繰り返すというものだった。

 実は、そのような食べ方をする子は、その子だけではなかった。これまでも数人、幼児から小学生にかけて、似たようなケースを知っている。

 最初はなぜ、おかずだけを食べてしまい、白いごはんだけが手付かずの状態で残るのか分からなかった。しかし、いろいろと調べていくうちに、家での食習慣が原因であることに気づいた。

 その子たちが、家で白いごはんを食べるときは、お味噌汁をかけたり、ふりかけや生卵をかけて食べたり、ケチャップライスやおにぎりという形で、食べることが日常となっているようだった。要するに、ごはんに味をつけ、単体で完結させて食べていたのだ。だから、おかずと白いごはんを交互に食べるということが苦手、もしくはできないのだ。

 白いごはんは、それだけで食べるということは普通、しない。白いごはんには強烈な味があるわけではない。白いごはんは、おかずと一緒か、または交互に食べて、口の中で味をミックスさせて味わうものだ。これは「口中調味」と呼ばれる日本の食文化のひとつでもあり、日本人の味覚を培ってきたものだとも言える。

 口に入ってしまえば栄養としても同じなんだし、どんな食べ方をしたっていいじゃないか、と思われる方もいるかもしれないが、こうした食習慣の問題は大きい。特に幼少時は一生を決定してしまう場合がある。記者の友人も子どものころからの習慣を直せないまま大人になり、いまだに白いごはんが苦手で、ふりかけを常に持ち歩いている。

■ごはん食回帰の中で

 最近、米食が見直されている。パンの値上がりなどによりお米が見直され、売り上げも伸びてきているそうだ。農林水産省が、朝ごはんの欠食改善や米を中心とした日本型食生活の普及・啓発を目的に行っている「めざましごはんキャンペーン」の効果も出てきているのかもしれない。

 7月11日の朝日新聞によると、レトルトカレーやカレールー、お茶漬け、ふりかけなど、「米まわり」商品の販売も米の需要とともに売り上げを伸ばしているという。

 日本人がごはんを1日1杯多く食べると食料自給率もアップするそうだ。ごはん食への復活傾向は歓迎すべきことだろう。そして、そんな「ごはん食回帰」の今だからこそ、ごはんの食べ方に多少なりとも気にかけて欲しいと思う。

 くだんの白いごはんが食べられない子どもたちへの対応は、スタッフの話し合いにより、学校内では、一点集中型の「ばっかり食べ」ではなくて、おかずとごはんを交互にバランスよく食べられるように指導していった。また、子どもの状況を保護者にも話し、家庭でも食べ方を意識してもらうようにした。

 学校給食は、給食費未納問題などでクローズアップされがちだが、こうした食習慣や食文化を伝える「場」としても、現在、見直されている。

(記者:大鳥 かな子)

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