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2008年08月28日(木) 12時57分

<アフガン拉致殺害>伊藤さんに活動継続誓う 静岡のNGO毎日新聞

 「伊藤くん、ありがとう。地元に戻ってきたら敬意を込めて、そう伝えたい」。遺体発見から一夜明けた28日朝、かつて伊藤和也さん(31)さんが所属した静岡市のアフガン支援NGO「カレーズの会」(葵区)の小野田全宏・副理事長(61)は、突然の悲しみをこらえて語った。「たとえ彼の形はなくなっても、思いは死なない。志を引き継いで、今後もアフガンへの支援を続けていく」と述べ、志半ばでアフガンの荒野に倒れた青年に活動の継続を誓った。

 カレーズは現地語で「地下水脈」の意味。伊藤さんが入会したのは03年7月だった。半年ほど会員として活動。「物静かな青年だったがアフガンへの熱い思いを内に秘めていた」と振り返った。

 「アフガンの人のために役立ちたい」。そう語る真摯(しんし)なまなざしは、ペシャワール会に活動の拠点を移した後も変わりはなかった。「経験を積んでも思いあがるところがなく、初めて会ったときと少しも変わらない純粋さがあった」と小野田さん。その言葉を裏付けるように、伊藤さんは現地で黙々と仕事し、村人に慕われた。

 そして、最愛の地で命を落とすことになった。「NGOの人たちは危険への対策を十二分にとる。伊藤さんに落ち度があったとは思わない」と声を震わせ、「必ず解放されると信じていた。まさか、なぜ……」と絶句した。

 「伊藤さんの両親とともに、彼の自宅で帰りを待ちたい。それしか我々にはできない」と肩を落とす小野田さん。「現地の人たちを疑うことなく、信じきること。それが活動の基本だから……」と、同志の死を悼んだ。【鈴木美穂】

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