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2008年08月27日(水) 12時00分

『iPhone 3G』接続問題:世界のユーザー調査結果WIRED VISION

Brian X. Chen

『iPhone 3G』ユーザーに対するワイアードの調査から、広範囲で確認されているデータ速度の問題は、iPhone 3G自体よりも通信会社のネットワークの影響が大きいことが明らかになった。

Wired.comは最近、世界中のiPhone 3Gユーザーに対し、利用している3Gネットワークの接続速度を調べて双方向マップにデータを入力する調査への協力を求めた(日本語版記事)。

iPhone 3Gのネットワーク性能に関して広範囲に不満の声が上がっていることを踏まえて、接続状態が良い地域はどこで、良くない地域はどこなのか、3Gの性能について実態を大まかにつかむのが調査の目的だった。

調査には、2636名の人々が協力してくれた(米国から1638名、オーストラリアから233名、カナダから152名。残りは欧州諸国が中心。また、不完全回答が約1000名分あった)。[日本や香港、南極大陸からの協力もある]

調査データ(リンク先はGoogle spreadsheet)を整理したものが上のマップだ。[上の画像は北米大陸のものだが、画像をクリックすると、世界全体のマップを双方向で見ることができるZee Mapサイトに行く]

色のついた棒は、各回答者の3Gネットワークの相対的なダウンロード速度を示し、紫色の円は、複数の回答者がその地域に集中していることを表している(Zee Mapサイトの双方向マップでは、表示されている棒の数が少ない場合は、見たい地域を拡大していくと紫色の円が消えて棒が表示される)。

かなり大ざっぱに言えば、データ全体から、3GネットワークはEDGEネットワークよりも高速であることがわかる(予想通りだ)。最も接続状態のいいケースでは、3Gネットワークの速度はEDGEネットワークの7倍にまで達している。それほど接続状態のよくないケースでは、EDGEネットワークとあまり変わらない速度だった。また、最悪のケースとして、3Gネットワークにまったく接続できないユーザーもいた。3Gネットワークの電波塔がまだない地域もあるので、これは意外なことではない。

詳しい調査結果

国別

オーストラリアの回答者は、3Gネットワークの平均ダウンロード速度が約759Kbpsでもっとも遅い。
3Gネットワークのダウンロード速度が「ゼロ」という回答がもっとも多いのは、米国の回答者だった。おそらく3Gネットワークの通信圏外のユーザーだろう。米国では63人、全体では80人の回答者が「ゼロ」と回答している。
ドイツとオランダのユーザーは、3Gネットワークの平均ダウンロード速度が約2000Kbpsともっとも速い。

3Gネットワークが普及していると思われる大都市圏で、3Gネットワークのダウンロード速度がかなり遅いところがある。たとえば、サンフランシスコを拡大すると、回答者30人中10人が報告している3Gネットワークの速度は非常に遅く、EDGEネットワークとほとんど変わらないことがわかる。

このことは、大半のiPhoneユーザーの居住地である大都市では、3Gネットワークの電波塔に負荷がかかり過ぎ、その結果、速度が落ちたり、性能がEDGEネットワーク並みになったりしている、というフェムトセル[非常に小さな携帯電話の通話エリア]の開発者Dave Nowicki氏の説明(日本語版記事)と符合する。

通信会社別

欧州の『T-Mobile』ユーザーは、3Gネットワークの平均ダウンロード速度が1822Kbpsでもっとも速い。

ちなみに:欧州には、2001年に開発が始まったもっとも完成度の高い3Gネットワークがいくつか存在する(米AT&T社が米国に3Gネットワークを導入したのは2004年だ)。

カナダの通信会社であるRogers Communications社とFido社の2社は、ともに平均ダウンロード速度が約1330Kbpsで2番目に速度が速い。
米国の通信会社であるAT&T社は、豪Telstra社、スウェーデンのTeliaSonera社、日本のソフトバンクと並んで、約990Kbpsで平均ダウンロード速度が3番目に高い。
オーストラリアの通信会社であるOptus社とVirgin Mobile社は、約390Kbpsで平均ダウンロード速度がもっとも遅い。

ワイアード・ブログ『Gadget Lab』の読者に評価してほしいのだが、このデータは、携帯電話本体よりも携帯電話会社のネットワークの性能のほうがiPhone 3Gに与える影響が大きいことを強く示唆しているように思われる。

われわれの調査結果との関連を見いだせる、別の報告もある。Teknik & Trender社は、テストチェンバーで受信状態をテストしたところ、iPhone 3Gのパフォーマンスは他の携帯電話とだいたい同じだったと報告している。この報告は、Apple社が魔法の杖をひと振りし、ソフトウェアの更新によって「3G問題は解決した」と主張する可能性はかなり低い、というわれわれの主張を裏付けている。

Apple社がこうした主張を行なうには、提携しているすべての通信会社が、電波塔の数と配置、各電波塔が処理できる帯域幅という点で、3Gネットワークの性能を最適化するのを待つ必要があるだろう。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080827-00000004-wvn-sci