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2008年08月27日(水) 11時49分

「七三一部隊」報道(6)オーマイニュース

 オーマイニュース発足当初の2006年9月以来、「夏になると現れる、通称『七三一部隊』に関する報道」についての記事を書いてきた。夏の終わりにはまだ少し早いのだが、3年目の観測結果を報告したい。その前に、過去2年間の経緯を簡単に紹介する。

 2006年には、7月21日に「前年に見つかった石井四郎部隊長のノートを解読した結果、細菌兵器で進駐軍を攻撃する計画があったことが解った」といった報道が流された。

 この時は、TBSのテレビ番組「イブニングニュース」で安倍晋三氏の顔写真パネルが映りこむ事件が発生して、こちらの方が問題となり、内容について掘り下げられることは無かった(下記、過去記事第1回を参照)。

 昨年2007年にはそれほどの事件はなかったが、8月12日、テレビ朝日の「ザ・スクープスペシャル第20弾」で取り上げられた。オーマイニュースの編集長職を体調不良を理由に退任したばかりの鳥越俊太郎氏が出演していた件は、ちょっとした事件ではあったが、内容自体には特に目新しい点は無かった(過去記事第5回を参照)。

   ◇

 以上のように、記事中で紹介した2005年の報道を含めれば、過去3年間はこのような特別扱いがあったのだが、今年は8月24日時点でごく小規模かつ散発的な報道しか確認できていない。

 ただし、ウェブ上のニュースを検索してみた結果では、どうやら中国国内では例年のような関連報道があった模様である(記者には中国語が分からないので、外見からの推測)。

 一方、2007年8月から、今年の夏までの間に何事もなかったかというと、そんなことはない。

 「遺棄化学兵器」処理事業をめぐる不正が明らかになっており、昨年10月には関係先の家宅捜索が行われ、今年4月には関係者が逮捕されている。

 また、この間には化学兵器が中国側に引き渡された記録が残っていたことも発覚している。

 私が見たように日本国内では関連報道が減り、中国では減っていないとすれば、日本国内では処理事業に関連する見返りが期待できなくなりつつある一方で、中国側には反日運動の火種としての利用価値が残っている、といった背景が考えられる。

 ともあれ随分と新情報が山積しており、本当に検証報道をやるのであれば適切な時期であろう。

(記者:渡辺 亮)

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