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2008年08月26日(火) 18時57分

【共犯尋問(11)】「緒方被告の指示?」「はい」…暴露される虚偽報告書の作成産経新聞

 《検察側は、証人の河江浩司被告が航空ベンチャー会社社長のAさんと会った際の顛末を重要視し、執拗に質問を繰り返す》

 検察官「Aさんと会った際のことについて、満井被告にはどのように伝えたのですか」
 河江証人「『緒方さんと一緒にAさんに会った。Aさんは投資の約束はしていないが、2、3日検討すると言っている』と伝えました」

 検察官「満井被告は何と言っていたのですか」
 河江証人「『Aさんが銭金の問題ではなく取り組んでくれる』と報告書に付け加えるよう言われました」

 検察官「そのようなことをAさんは言っていたのですか」
 河江証人「いいえ」

 検察官「(そのような指示を出す)満井被告は何を考えていると思いましたか」
 河江証人「朝鮮総連側を安心させるために(虚偽の内容を)書き込むように言ったのだと思いました」

 検察官「指示通りに報告書を作成した後はどうしましたか」
 河江証人「緒方さんの自宅にファクスしました。緒方さんから加筆するよう電話で指示があったので、修正してから土屋弁護士にファクスしました」

 《検察官はここで、河江証人がファクスした文書を証拠として示した。河江被告は検察官に促され、確認するように丁寧に文書を読み直す》

 検察官「文書の中央に『銭金の問題ではなくAさんの強い意志』とありますが、これが証人が書き加えたところですか」
 河江証人「はい」

 検察官「緒方被告の指示で修正したのはどこですか」
 河江証人「…『すでに話を持ちかけている』を加えました。この『確定的な』という表現も加えました。『最終的な売買期日の確定は、次回打ち合わせにて行われるものとの確信を得た』も付け加えるように言われました」

 検察官「それだけですか」
 河江証人「…『次回打ち合わせは29日に』というのも加えました」

 検察官「『売買期日の確定は次回打ち合わせで』とあるが、Aさんは(売買代金の)35億円を用意すると言っていたことがあるのですか」
 河江証人「言っていません」

 検察官「緒方被告の指示に従って事実と異なることを書き加えたのですか」
 河江証人「はい」

 《緒方、満井両被告の指示に従い、虚偽の報告書を作成していたことを次々と暴露する河江被告。検察側は冒頭陳述で、その意図をこう説明していた》

 《…(投資家集めが難しいことが分かった両被告は)売買代金の支払いに先立って土地・建物の所有権登記を朝鮮総連とは無関係の会社に移転させた後、その会社の代表者が緒方被告であることの社会的信用を利用し、投資家を募るほかないと考えた…》

 検察官「朝鮮総連の所有権の移転手続きを終了後、緒方被告から電話がありましたか」
 河江証人「はい。『土屋弁護士には、Aさんが送金の手続きをやっているので、登記移転の確認後、金を支払うと言った。あなたも同じように土屋弁護士に言ってくれ』と言われました」

 検察官「Aさんが送金手続きをしているというのは事実ですか」
 河江証人「いいえ」

 検察官「緒方被告はうそを言うように指示したのですか」
 河江証人「はい」

 検察官「6月8日、緒方被告から電話がありましたね」
 河江証人「はい。登記があがったので、できれば(週明けの)月曜日(6月11日)に書類を受け取って来るよう言われました」

 検察官「なぜ週明けだと思ったのですか」
 河江証人「登記があがったら代金を払わなければならない。月曜まで時間稼ぎをしたいのだと思いました」

 検察官「6月12日、朝鮮総連の建物の所有権が移転されたとの記事を見ましたね」
 河江証人「はい」

 検察官「満井被告からは連絡がありましたか」
 河江証人「はい。土屋弁護士の事務所に行くように言われ、『報道を見てAさんが投資を躊躇している』と説明するよう指示を受けました」

 検察官「12日夜、土屋弁護士の事務所には誰がいたのですか」
 河江証人「土屋弁護士と朝鮮総連幹部の許宗萬さん、(財務担当幹部の)趙忠治さん。緒方さんと満井さんもいました」

 検察官「その場で何と言ったのですか」
 河江証人「『Aさんは送金手続きをしていたが、マスコミが騒いだので躊躇している。北朝鮮の案件ということでもともとデリケート。ちょっと待ってくれ』と言われていると話をした」

 《検察側冒頭陳述によると、資金の支払いが受けられない事態になるかもしれないと考えた土屋弁護士らは、所有権登記の名義を朝鮮総連に戻す準備だけはしておく必要があると考え、関係書類を戻すよう緒方被告に要求。緒方被告は18日になってようやく名義を戻す手続きを行った》

 =(12)に続く

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