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2008年08月26日(火) 18時31分

【共犯尋問(10)】総連側には「60億円運用ということに」 緒方被告が指示産経新聞

 《検察官は緒方重威、満井忠男両被告が証人の河江浩司被告に指示した顛末(てんまつ)書の修正内容を確認し続ける。検察側は(東京都内の航空ベンチャー会社社長の)Aさんが投資を検討しているとの虚偽の内容を、緒方被告らが総連側に伝えたと主張している》

 検察官「加筆修正の中にAさんが『世界的に投資をしている』となっているが、それは事実ですか」
 河江証人「違います」

 《顛末書には、「(河江被告が)土屋(公献)弁護士だけではなく緒方、満井両氏にも謝罪する」との内容が記されていることを検察官が明らかにした》

 検察官「証人は両被告に謝罪する必要があったのですか」
 河江証人「いいえ。満井さんから言われた内容をそのまま書きました。『緒方先生や満井さんに謝罪するのはおかしいな』と思いましたが、そのまま書きました」

 《さらに、修正を行った顛末書について、検察官が質問を始めた》

 検察官「証人がAさんと会う際、『緒方氏が予定をキャンセルして同席する』となっている。これは緒方被告の指示で書き加えたのですか」
 河江証人「はい」

 検察官「これと同じものを土屋弁護士に送信したのですか」
 河江証人「はい」

 《緒方被告は海外投資をしているというAさんに興味を持っていたもようだ。Aさんの人物像について、事前に河江被告に確認している》

 検察官「Aさんと会う前に、緒方被告は証人になにか聞いてきましたか」
 河江証人「Aさんの人となりを」

 検察官「どう説明しましたか」
 河江証人「海外で投資やコンサルティングをしていると説明しました」

 検察官「ほかには」
 河江証人「どのくらい資産運用しているのかと」

 検察官「それについてはどう説明しましたか」
 河江証人「私の顧客の資産が10億くらい渡っていると説明すると、緒方さんが『50〜60億円運用していることにしておきましょうか』と言いました」

 検察官「それ(緒方被告の『50〜60億にしておきましょうか』という発言)は誰に対するものだと思いましたか」
 河江証人「総連に対するものだと」

 検察官「ほかには何か話をしましたか」
 河江証人「Aさんがヘリコプターに乗っているというようなことです」

 《緒方被告と河江被告がAさんに投資を依頼した際、検察側は投資の確約を取れなかったと主張している。検察側は主張を裏付けるため、Aさんとの会談の模様を再現していく》

 検察官「平成19年5月26日の午後、Aさんとはどこで会いましたか」
 河江証人「東京駅のカレーショップです」

 検察官「Aさんには緒方被告を同席させると伝えていましたか」
 河江証人「いいえ。Aさんと投資の約束はしていないので、緒方さんが同席すると分かると会ってもらえないのではと思いました」

 検察官「Aさんには緒方被告をどう紹介しましたか」
 河江証人「『公安調査庁長官などを歴任した先生です』と紹介しました」

 検察官「名刺交換はしていましたか」
 河江証人「緒方さんは渡していましたが、Aさんは渡していないと思います」

 検察官「緒方被告がAさんに出資をお願いしましたね」
 河江証人「はい。『総連本部は北朝鮮の大使館的な役割を担っている。なんとか助けてやりたい』と。Aさんに『35億円用意してください』とお願いしました」

 検察官「Aさんはどう答えました?」
 河江証人「『私は不動産はやらないし、北の案件に関与すると自分の仕事に支障が出る』と言われました」

 検察官「Aさんは35億を出すと約束していませんね」
 河江証人「約束していません」

 《Aさんは投資話を断ったと検察側は主張してきている。河江被告の証言は、検察側に有利なものにみえる》

 検察官「Aさんと別れた後、緒方被告からは何か指示がありましたか」
 河江証人「報告書を作成するように言われました」

 検察官「どのような指示でしたか」
 河江証人「顛末書の内容に沿って、Aさんが積極的に検討してくれていると土屋弁護士に送った方がいいと言われました」

 検察官「でも、Aさんは約束していませんね」
 河江証人「はい」

 検察官「証人は緒方被告の指示がどんな指示だと受け取りましたか」
 河江証人「土屋先生や総連側に安心していただけるようにする指示と受け取りました」

 検察官「緒方被告の指示にどう答えましたか」
 河江証人「『分かりました。ファクスします』と答えました。それで緒方先生と別れました」

 《河江被告の証言は、緒方被告らが河江被告に『投資話が進んでいる』とする虚偽の報告書を書かせて、総連側をだましたとする検察側の主張に沿うものとなった》

 =(11)に続く

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