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2008年08月26日(火) 20時45分

<アフガニスタン>邦人拉致…10時間後に無事解放毎日新聞

 外務省邦人テロ対策室によると、アフガニスタン東部ジャララバードで活動中の非政府組織「ペシャワール会」(福岡市)のスタッフ、伊藤和也さん(31)が26日午前6時(日本時間同10時半)ごろ、アフガン人の運転手とともに武装勢力に拉致された。アフガン治安当局などが犯行グループを特定して包囲、交戦の末、約10時間後に無事解放された。外務省幹部が明らかにした。【斎藤良太、ニューデリー栗田慎一】

 外務省筋によると日本時間の午後8時15分ごろ、伊藤さん本人からアフガニスタンの内務省に電話があった。これを受けて、内務省が日本大使館に解放を連絡したという。

 犯行グループは明らかになっていないが、毎日新聞の取材に対し、アフガン旧支配勢力「タリバン」の報道官は犯行を認めた。

 ペシャワル会によると、伊藤さんは他の日本人スタッフ4人とともに、ジャララバード北方約30キロのダラエヌール渓谷の診療所を拠点に、農業支援活動をしていた。アフガン人の運転手と2人で車で移動中、武装した4人組に拉致された。警護スタッフは付けていなかった。その後、運転手は解放されていた。

 福岡市の事務局で救出前に記者会見した福元満治・同会事務局長は、4人組は反政府勢力ではなく現地の住民で、住人同士のトラブルに巻き込まれた可能性がある、と説明していた。周辺で活動中の米軍が介入する動きがあったが、住人が阻止したという。

 毎日新聞の取材に、複数のタリバン関係者は犯行を認めた上で、治安当局と銃撃戦となり、「死傷者が出た」と答えていた。

 同会現地代表の中村哲医師は滞在先のバンコクから現地に向かった。

 伊藤さんは静岡県掛川市出身。同会のボランティアに参加し03年12月からダラエヌールでサツマイモや飼料用作物などの栽培支援をしていた。

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