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2008年08月22日(金) 00時15分

五輪中にチベット弾圧か ダライ・ラマ、仏紙に言明中国新聞

 【パリ21日共同=金子大】フランス訪問中のチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ十四世は二十二日付ルモンド紙のインタビューで、中国軍が十八日に中国のチベット民族が住む「カム」地方で群衆に向けて発砲したと指摘した。死者数については確認が必要だとしながらも、百四十人が殺害されたもようだとして、中国当局を非難した。

 ダライ・ラマの証言が事実なら、北京五輪期間中も中国当局はチベット弾圧を継続、強化したことになり、国際的な批判にさらされることになりそうだ。

 一方、中国外務省当局者は二十一日、「報道を見ておらず確認のしようがない」と述べた。

 ダライ・ラマは「信頼できる目撃情報から(チベット暴動が始まった三月十日以降にチベット自治区の)ラサ地域だけで四百人が殺害された。彼らの遺体は家族の元に返されていない」と強調。「チベット全体だと犠牲者数はもちろんもっと大きくなる。逮捕者は一万人に上り、どこに投獄されたか分からない」と述べた。

 その上で「三月の暴動から北京五輪までの間、われわれは(中国当局による)前向きなサインを信じていた。しかしすぐに幻想は捨てた」と述べ、中国当局の強硬姿勢に変化はないとの認識を示した。

 カム地方は、中国の現在の行政区分ではチベット自治区東部、青海省南東部、四川省西部、雲南省北西部にまたがる地域。インド北部ダラムサラのチベット亡命政府などは現在も中国の行政区分と区別し、かつてのチベットの地域名を用いている。

 ダライ・ラマは二十三日までの日程でフランスを訪問中で、二十二日にはサルコジ大統領夫人のカーラ・ブルーニさんやクシュネル外相らと会談する予定。大統領本人は、中国との関係悪化を避けるため、今回の訪問ではダライ・ラマと会談しない方針を明らかにしている。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200808220079.html