記事登録
2008年08月22日(金) 12時00分

NASAの次世代有人宇宙船『オリオン』、投下実験失敗の動画WIRED VISION

7月31日(米国時間)、米航空宇宙局(NASA)の次世代有人宇宙船『Orion(オリオン)』の実物大模型を使用した投下試験が行なわれたが、パラシュートが予定通りに作動しなかったため、失敗に終わった。

[オリオンは、2010年に運用が終了するスペースシャトルの代替としてNASAが開発中の宇宙船。国際宇宙ステーション(ISS)への人員の輸送手段や、次期有人月着陸計画への使用などに期待されている]

このパラシュート・システムは、打ち上げを途中で中止する事態が生じた場合に、切り離されて地上に降りてくる宇宙船部分の着陸時の衝撃度を緩和するためのもの。試験は、大型軍用輸送機『C-17』の後部から、Orionの実物大模型を[上空約7600メートルから]投下する形で行なわれた。

今回の試験では、多数の「綿密に準備された」パラシュートを用いた。その一部は、C-17からOrionの実物大模型が積載されたパレットを引き出すためのものだ。その後、宇宙船本体は、火薬によってパレットから切り離される。

パレットには、宇宙船とは別に、パラシュートによる回収システムが装備されている。宇宙船には、機体を適切な体勢に導くために使用される「プログラマー」パラシュートと、安定用パラシュートが搭載される。

今回の試験では、まずプログラマー・パラシュートが予定通りの展開に失敗。[そのため3つのメイン・パラシュートのうち2つが展開せず]、宇宙船の模型は、計画よりもはるかに高速で落下した。

映像を見ると、プログラマー・パラシュートと安定用パラシュートが開いた後、Orion本体の減速用パラシュートが、展開の直後に引っ張られて外れ、宇宙船の模型が自由落下したのが確認できる。この際、機体が回転を始め、その力でメイン・パラシュートが引き出された。3つのメイン・パラシュートのうち1つだけは切り離されずに持ちこたえたものの、広がることはなかった。結果としてOrionは地面に衝突し、「模型は激しく破損」した。

今回のOrion投下試験の目的の1つは、試験の手法を実際に試すことだった。NASAのエンジニアやマネージャーたちは現在、プログラマー・パラシュートが展開しなかった原因を特定するため、試験の設定や実施時の動画、写真を見直している最中だ。

『SpaceRef』の記事「失敗したNASAの打ち上げ中断用パラシュート実験——落下映像を公開」を参考にした。

[NASAの関連ページはこちら。日本語サイト(sorae.jp)による解説はこちら]

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080822-00000003-wvn-sci