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2008年08月21日(木) 14時00分

グルジア情勢:「国内の批判勢力に使われた音響兵器」や核物質の影などWIRED VISION

グルジアでは、今年4月ころからロシアとの小競り合いが起こっており、グルジア側が「自国の複数の無人偵察機(UAV)がロシアの『MiG-29』によって撃ち落とされた」と主張、ロシア側はこれを否定するといった事態が起こっていた。

撃ち落とされたUAVはイスラエルのElbit Systems社製の『Hermes-450』で、ロシアは、米国やイスラエルがグルジアに軍事協力していることを非難している。『Ynetnews』の記事によると、グルジアの国防相Davit Kezerashvili氏は元イスラエル人で、イスラエルとグルジアとの緊密な協力を推進してきたという。[米国が2002年ころから多額の軍事支援と訓練を行なってきたことについての日本語版記事はこちら]。

一方、グルジア国内ではサーカシヴィリ政権に対して、昨年から激しい抗議行動が起こっていた。2007年11月7日にはグルジアの首都トビリシにおいて反政府デモを行なっていた野党勢力と治安当局との衝突が発生。治安当局は、催涙ガスやゴム弾、放水車などを使って、抗議運動を行なっていた者たちを強制排除した。

負傷者が多数出たことを受け、全土に非常事態宣言が発令され、2つのテレビ局の放送を停止。首都トビリシに入ることなどが禁止された[外務省サイトによると、サーカシヴィリ大統領は、ロシアが野党を扇動し、政権の転覆を図ったとしてロシアを非難。グルジア外務省は、ロシア大使館員3名が諜報活動に従事していたとして、国外退去を要求すると共に、自国の駐ロシア大使の召還を決定した]。

治安当局が市民に対して音響兵器も利用していたことが、以下の動画で報道されている。動画は『Russia Today』英語版によるものだ。

Russia Todayは、「同様の兵器はイラク警察によっても使われている」とも述べている。私はその真偽はわからないが、イラク駐在の米軍によって利用されている(日本語版記事)[最大約150デシベルの出力があり、約270メートルの範囲内なら十分な効果を発揮するという]。

さらに米国国内でも、共和党全国大会を警備するニューヨーク警察が利用していたし、ハリケーン『カトリーナ』の間に警察が利用したこともある。2005年にはソマリアの海賊を追い払うのに船で利用されたこともある。

さらに、読者「TM」の指摘によると、同技術のショートレンジ版は、オンラインで購入することができる。わずか898ドルという[リンク先サイトは現在稼働していない]。

なお、昨年6月には、グルジア国境でプルトニウムとベリリウムを積んだ車が発見され、国外(アゼルバイジャン)に戻されたという報道もある。また、2006年2月には、兵器に利用できるグレードのウラニウムが100万ドルで販売されようとしていたことが発覚している。

[この記事は、ワイアード・ブログ『Danger Room』の複数の記事を統合しています]

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080821-00000004-wvn-sci