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2008年08月20日(水) 11時50分

「デカ目」「超高画質」に長蛇の列!進化するプリクラ業界の底力ダイヤモンド・オンライン

 渋谷の道玄坂にある某ゲームセンターでは、バンダイナムコゲームス(以下、BNG)が今年7月に発売したプリントシール機「Jewella Eye」(ジュエラ・アイ)の前に、連日長蛇の列ができている。「120%デカ目革命!」をうたい、通常のプリントシール機に比べて目が自然に大きく写るため、女子高生に大人気なのだ。

 1995年にアトラスとセガが共同開発で発売し、空前のヒットとなった「プリント倶楽部(プリクラ)」。それから13年を経て、さまざまなヒット製品が浮沈するなか、ゲームセンターのプリントシール機コーナーは、今も若い女性で溢れ返っている。その根強い人気ぶりは驚くばかりだ。

 実は、アトラスも現在はプリントシール事業を縮小させており、登録商標の「プリクラ」という言葉だけが、今や一般名詞のように1人歩きしている。息の長い人気の理由は、主力ユーザーとなる女子高生の激しい志向の変化に同調するかのように、数年おきに技術革新が行なわれ、ヒット機種が登場し続けてきたためだ。

 たとえば、上半身だけでなく全身を写せる機種、カメラやプリンタのスペックを重視して肌色などの画像処理技術を進化させた機種、さらに「真夏」「夕焼け」などテーマごとに最新CGを使ってフィルタリングをかける技術で「遊び心」を追求する機種と、人気製品の変遷は目まぐるしい。

 そんなプリクラで現在人気があるのは、究極的なレベルまでハイスペックかつ高度な画像処理機能を実現した製品群。たとえば「Jewella Eye」は、顔認識の技術を用いることにより、自分で何の操作をしなくても、自動的に目を大きく写す画像処理をしてくれる。「女子高生は撮影前に必ずアイメイクを直す。それなら、いっそ目が大きく写るプリクラを作ろうと思った」と、開発元のBNGは開発の意図を語る。

 また、フリューが今年6月に発売した「鏡の魔法」は、1010万画素の最新一眼レフカメラと、1200dpiプリンタを使い、「より鮮明な写り」を追求している。プリントシール程度の大きさではもったいないほどのスペックで撮影された画像は、もはやプロ顔負けの域に達しているのだ。

 とはいえ、女子高生は飽きるのが早い。各社はユーザーニーズの掘り起こしにしのぎを削っている。他の娯楽危機と比べて流行り廃りが激しく、3ヵ月周期で新作を出す企業もあるほどだ。女子高生に対するリクルート(座談会)を週2回程度行なうBNGでは、1組当たり2時間、多い時で4時間もかけて直接ヒアリングするというから、恐れ入る。

 しかし一方で、「高画質化もやりつくし、そろそろ踊り場が訪れるのでは」と不安視する業界関係者も多い。アミューズメントベンダー(プリントシール機など)の市場は、2004年に195億円に達した後、下降線を辿っている。プリクラのユーザーは減らないが、撮影頻度が減っているためだ。

 とはいえ、女子高生がメインユーザーでは、現在の400円よりも単価を上げるのは難しい。そのため各社は、小中学生、大学生、そして「プリクラ第1世代」の30代女性も視野に入れ、「顧客層拡大」に躍起だ。プリントゲーム機の強みは新たな市場でも通用するのか。その真価が問われる。

(フリーライター 西川留美)

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