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2008年08月20日(水) 15時02分

景気対策は選挙対策にしか思えないツカサネット新聞

竹中平蔵氏は、経済政策において90年代を「大きな誤りの時代」と呼び、自らが経済政策の陣頭指揮をとった小泉政権時代を、方向は間違っていないが「勢いの低下した時代」と言う。そして原油高高騰の中、漁業など救済措置を望む声に対し、「政治家は、我慢しよう歯をくいしばってこれをしのごうと訴えなければならない。」と唱えている。

同氏が政権に携わった時代の明らかな弱者切捨ての果て、我慢し歯をくしばって生き残ったものが、自助努力では補えない現状に対し、救済措置を望んでいるのだと分らないのだろうか。省庁の放漫な支出を見て、国民はあの時代我慢をしなければならないのだと思って頑張ってきたことに、疑問をもっているのだと気付かないのだろうか。

サンデープロジェクト(2008.8月17日放送)で森元首相は、小泉改革を指して「改革の中、苦しむ人悩む人を全部切り捨てたイメージができてしまい、地方の怒りを買い、去年の参院選の結果となったのではないか。改革をすすめることが良かったのかということを、考えなければならない」という趣旨の発言を行なった。

悪いけどイメージじゃないんです。現実なんです。最早イメージで投票行動をする人はいません。

誰もが知るとおり、小泉政権のお膳立てをして後見人の役割をしていたのは同氏だ。このような発言をしているのは、次の選挙に勝つために他ならないのだろう。

あの選挙の時、実際にもうすでに国民生活は厳しさを増し、改革による弱者切り捨ては、個人だけでなく、零細企業ばかりか地方自治体にまで及んでいた。だから格差社会は、個人だけに及ばず、地方格差まで生んでしまっている。

にもかかわらず、この問題を避けて通るような浅ましい選挙活動をしていたのは、当の本人たちである。しかも大きく主張したマニフェストの一つ年金問題は未だに終着点が見えず、どちらかといえば「うやむや」にされそうな流れである。

負けそうになると、ばら撒くことをちらつかせ、魔女狩りのごとく、被害を最小限に抑えられる、どこか一点に責任を押し付ける様を見ると、この国の政治は、相変わらず国民の意思を汲み取る気がないと感じられる。

番組内で森元首相は、原油高や食料品の値上がりについても危惧を唱え、補正予算で支えるべきだという旨の発言を行なっていた。

ならば、小麦の価格は政府決定が大きく影響することや、何が何でも暫定税率維持でガソリンの値上がりを黙認していた事実はどのように解釈すればよいのだろう。とても近いあの時既に国民生活は不安を感じていたし、価格が上昇し続けることは確実だった。

また原油高高騰が日本一国の問題ではなく、世界全体に影響を及ぼし今多くの国が景気低迷にあえぐサマからみると、サミットで道筋がとらえられなかった失敗は、現首相の責任問題につながるのではないだろうか。

かといって、野党からは緊急に具体的政策提言することもなく、国民目線を謳う民主党からは景気対策も生活の安定を期待させる政策も主張されない。ニュースとして発信されるものが、政局を占うものや選挙、そして代表選に関わるものばかりというのは寂しい限りだ。

若い人に今、「蟹工船」がリバイバルヒットしているようだが、時代遅れの思想が今を闊歩するようなことが起きないよう、しっかりとした政策をもった政党の出現を期待したい。



(記者:竹山壽)

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