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2008年08月19日(火) 18時39分

野口みずきの怪我で見えた陸連の問題点ツカサネット新聞

女子マラソン・野口みずき選手の出場に暗雲が立ち込めている。

ご存知の通り、スイスで合宿中だった野口選手は日本帰国を予定よりも3日早め、その後の所在も陸上連盟すら分からないという、本番を10日後に控えた行動とは思えないような異常さだった。結局、疲労からくる左足の肉離れと判明し、検査のために入院していたことも発覚した。彼女の出場は日本人3連覇、個人でも2連覇の期待がかかるだけに、国民も大きな関心を寄せている。

だがそれよりも気になったのは、騒動が発覚した後の陸連の対応だ。
まずは帰国の報道があった際。
どうやら帰国については本人達からの連絡はあったそうだが、理由については知らされていなかった。彼女自身は不参加を拒絶しているためにわざと理由を隠したのだろうが、メダルの期待を大いにかけられている選手が本番直前で取った異常行動に対して理由を求めないのは、あまりにも管理不足ではないだろうか。子供ではないのだからと放任していたわけでもないだろうが、それでも不慮の出来事への対応としては競技のトップとしてはお粗末すぎる。

次に会見で怪我の状態を報告した際。
当然怪我についてと同時に野口選手が欠場になった場合の対応についても報道陣から質問されていた。もちろん出るのは本人の意思次第なのだが、怪我と時間的な面から欠場が濃厚である。一応補欠選手として今年1月の大阪国際で日本人トップの2位になった森本友選手が選ばれていたのだが、それについて陸連は「入れ替えを前提には進められない」とコメントした。野口選手への配慮もあるのだろうが、ここは感情論を抜きにして日本陸上界という大きな立場から考えなければならないはずだ。それにも関わらず発した今回の言葉の裏には一体何があるのだろうか。

今回のオリンピックにおいて日本に与えられた出場枠は40人。そして陸連はこの枠を目一杯使った。しかしながら、どうやらそこに森本選手の名前は入っていなかったらしいのだ。メダルの可能性を期待して、少しでも多くの選手を登録したい陸連の気持ちも分かる。だが、登録をしないのなら何故補欠選手なるものを選んだのか。選んだなら選んだその枠を必ず確保すべきであり、メダルを獲りうる種目に重点を置いて枠を使うべきだ。今回のケースはおそらく稀であり、それが不運にも野口選手だったために大きな騒動になってしまったわけだが、今更になって国際陸連に補欠として登録されているか確認するあたりに、陸連のリスクマネジメント能力の低さを感じずにはいられない。

幸運にも(と言っていいかわからないが)森本選手は現在調子を崩しているようで、仮に選ばれても辞退する方針のようだ。陸連も違った意味で胸をなでおろしていることだろう。


(記者:adios7210)

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