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2008年08月19日(火) 12時39分

星野ジャパン、日韓戦の報道の違いオーマイニュース

 8月16日の北京オリンピック野球1次リーグ日韓戦で、日本は韓国に5対3で逆転負けを喫した。

 和田投手と韓国の金廣鉉の白熱の投手戦で始まった試合は、新井選手の6回の2ランホームランで、日本がいち時期は2対0とリードしていたが、和田投手も7回に2ランホームランを浴びて降板する。

 私は、この試合で日本が負けた理由は、勝利を確実にする継投に失敗したことと、9回裏の代打起用の遅さなどにあったと思う。

  8月18日の朝鮮日報では、星野監督が「敗北は私の采配(さいはい)ミスだ。和田が金東柱に四球を与えた時点で変えるべきだった」と、語ったことが報じられていたが、同時に韓国側が9回に打たれて負け投手になった岩瀬投手の心理や送球ミスで5点目を与えてしまった阿部捕手の心理にも注目して、彼らの反省と今後への再起を込めたコメントを紹介していたことが、私には気になった。

 私が、1番気になったのは、日本の投手コーチが、延長に備えて投手を温存するほかなかった、と苦しい台所事情を打ち明けたという朝鮮日報の紹介部分だ。

 日本は、どうして、9回表の2対2の同点の場面で、藤川投手を投入しなかったのだろうか? 延長に備えた戦力の温存ならば、上原投手もいたではないか。

 9回に岩瀬投手のさらなる続投よりも、日本は、この同点の場面でも、9回表から藤川投手、矢野捕手のバッテリーを投入して、韓国の策を封じるべきだったのではないだろうか。

 9回表に藤川を投入していれば、同点か、1点差の状況で日本は9回裏を迎えられた可能性が高い。

 9回に仮に藤川投手を投入しても、後にはまだ上原投手がいたのだ。

 9回表の韓国の代打攻勢やバントを使った揺さぶりの作戦も、藤川投手の速球やフォークの方が封じやすかったのではないだろうか。

 現実の試合は9回表2アウトから、韓国の代打・金賢洙が、岩瀬投手の低めのスライダーを執念で逆転ヒットにし、次の李鍾旭が、2アウトなのにセーフティーバントを試みて、サード前に小フライが上がる。

 意表をつかれたサードの村田選手が捕れずに韓国に4点目を献上。

 李鍾旭の盗塁に対して、阿部捕手が慌てて悪送球で、韓国に5点目を献上した。

■9回裏の代打起用策の遅さ

 阿部選手とG.G.佐藤選手は9回裏に冷静さを失っていた。2人の打席で代打を送った方が良かった。9回裏に日本は、新井選手の3塁打と韓国側のエラーもあって5対3と追い上げるが、そこからが甘かった。

 阿部選手は、韓国に5点目を献上した送球ミスの自責の念から冷静さが消えて、浅いレフトフライに倒れた。

 韓国の5番手に右横手の鄭大ヒョンが登場すると、G.G.佐藤選手は、完全にアウトコースに逃げて行く外角のスライダーを巨体ごと無理に追いかけて、必死の気力が空回りして三振した。

 最後のバッター、代打・森野選手は追い込まれてから外角のスライダーを打ってサードゴロになり、5対3で試合終了になった。

 9回裏に韓国は、勝負を決めに投手を大量投入してきた。阿部選手に代打を投入しても、ほかにも矢野捕手がいた。9回裏に宮本キャプテンを代打で投入しても良かったと思う。

 日本は、9回の攻防でも、追いつくために、もっとできることがあったのではないだろうか。

 策士とも言われるキム・ギョンムン韓国監督の9回の常識を越えた奇策や選手の大量投入は、闘将の星野監督とは対極的だった。

 韓国の策は早めに封じることが必要だったはずだ。

 この試合、日本は、9回の攻防の時点で、延長戦を仮定した戦力の温存を、神経質に考えすぎたのではないだろうか? 上原投手をもっと信用すれば、違った作戦も考えられたはずだ。

 韓国のマスコミが9回の攻防にも注目していた理由、それは、星野監督の7回の一度の采配(さいはい)ミスだけでなく、9回の日本の作戦にも、関心があったからではないだろうか。

 逆に言えば、韓国は9回の裏まで勝った気分ではなかったと言うことだ。

 最後まであきらめずに頑張れ星野ジャパン。1次リーグ突破は日本の実力なら大丈夫だ。問題は敗戦からの反省と、その後の戦いだ。

(記者:谷口 滝也)

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