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2008年08月18日(月) 11時44分

往復2回も蜂に刺された悲劇オーマイニュース

 その悲劇は突然にやってきた。

 牛を飼育している私は、毎日決まった時間に牛舎に入る。その日も午後4時過ぎから作業に取りかかった。

 餌もやり、敷きわらの交換も終え、最後の作業、わらを補充するためにわら小屋に行く時に、それは起こった。

 わら小屋は、牛舎の西側に隣接してある。それでも、牛舎にはあらかじめわらをストックするスペースもあり、大体3日分くらい使う量は、貯蔵が可能だ。この日はちょうど、そのわらの在庫が切れ、次の日以降の分を用意する必要があった。それで私は、牛舎の西側にあるわら小屋に行くために、牛舎の西側の扉を開けた。

 扉は両側に開く観音開き式で、まず左側の扉を開け、扉が風で動かないように固定した。それから右側の扉も開けて、同じように壁に固定した。そのとたん、ブーンといういやな音がしたと思ったら、首筋に激しい痛みを感じた。と同時に、私はひざから崩れ落ちた。直感的に、蜂に刺されたと悟った。その瞬間、私は体を起こし、脱兎のごとく駆け出していた。自宅に戻ろうと思ったのだ。

 ところが結果的に、この動きが状況をさらに悪化させることになった。刺されてその場にうずくまった私は、起き上がってまた牛舎の扉の方へ走り出した。このため、再度、蜂の攻撃に晒される羽目になったのだ。今度刺されたのは、左手の薬指の付け根だ。

 つまり、同じ巣の蜂に2度も刺されたことになる。牛舎の扉を開けたことで、巣を壊された蜂の怒りを買ったのが最初の攻撃。そしてこの場から去るために、この巣の近くを通ったことが災いして2度目の攻撃を食らったのだ。

 少なくとも初めの攻撃は、予想だにしない事態で致し方ないにしても、後のほうは防げた可能性がある。なぜなら、最初の攻撃を受けたのは、扉を開けたことが彼らの巣を刺激したことにほかならず、このことをしっかり認識さえしていれば、その巣の近くを再び通過する愚を冒さなかったはずだ。

 この簡単な理屈に思いが至らなかったのが、傷を深くした原因だ。結果論になるが、最初の蜂の攻撃に遭った時点で、その現場から離れるべきであった。

 だが、刺された原因はこれだけではない。服装である。牛舎で作業をする私の服装は、頭の帽子から上下のつなぎ服まで、見事なまでに濃紺で統一されている。いわゆる典型的な蜂の攻撃を誘発するような黒系の服装だったのだ。

 加えて、逃げた時の素早い横の動きは、蜂の闘争本能を特に刺激するらしい。もし蜂に遭遇した場合は、低い姿勢でゆっくり遠ざかるのが正解だという。

 それでも解せないことがある。蜂の巣の建設期間である。3日前には何の問題もなく扉を開閉をしていたのだが、3日後には未完成とはいえ蜂の巣ができていることには驚かされる。こんなに短期間に巣を作るのでは、用心をしようにも、限界がある。

 それでも刺された傷のほうは、素早く水道で洗浄し、冷水で冷やし、消毒液で処置したためか大事にならなかったのは不幸中のさいわいであった。

 私を刺した蜂は、その大きさや体の模様から見てどうやらヤマトアシナガバチらしいが、これは翌朝の蜂の動きが鈍い気温が上がらない時間を身計らかって、殺虫剤で成敗した。巣は、直径10センチ程度で、まだ営巣途中だったようだ。巣には、十数匹の蜂と幼虫がいた。

 それにしても、短期間でこれほどの巣を作る能力を持つ蜂自体の生命力の強さには畏敬の念を禁じえないが、それだけに人間にとっては恐ろしい存在であることは間違いない。
 だからといって、いたずらに恐怖を煽るつもりは毛頭なく、基本的に巣を直接刺激しない限り、蜂の攻撃に遭う確率は極めて低いものだが、地方に限らず都市部でも営巣活動がこの時期、蜂に対する一通りの予備知識は持ちたいものである。

(記者:藤原 文隆)

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