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2008年08月18日(月) 08時01分

攻防第二幕 村上ファンドインサイダー あす控訴審初公判産経新聞

 ニッポン放送株のインサイダー取引事件で、証券取引法違反の罪に問われ、1審東京地裁で実刑を言い渡された村上ファンド元代表、村上世彰被告(49)の控訴審初公判があす19日、東京高裁(門野博裁判長)で開かれる。村上被告は無罪主張する方針。2審も出廷する予定で、「もの言う株主」と検察側の激しい攻防が再び幕を開ける。

 村上被告は、平成16年11月8日の会議で、ライブドア(LD)元社長、堀江貴文被告(35)=上告中=らから同放送株の大量取得計画を伝えられ、その公表前に約193万株を約99億5200万円で買い集めたとして、懲役2年、罰金300万円、追徴金約11億4900万円の実刑判決を受けた。

 村上被告は逮捕前の記者会見で、「聞いちゃったといえば聞いちゃった」とインサイダー取引を認めていたが、公判では一転して否認している。

 2審では、1審と同じく(1)16年11月8日段階のLDの株大量取得計画は、証取法のインサイダー情報となるか(2)この情報が村上被告に伝達されていたか−などが主に争われる見通し。

 株大量取得は、村上被告が堀江被告に勧めたものだった。1審で村上被告側は、LDの株大量取得計画について「夢物語で実現可能性はなかった」と主張していた。

 しかし、1審判決は、インサイダー情報について、「実現可能性の高い低いは問題でない」と判断。「LDは株大量取得を意図して資金調達を進めていた」としたうえで、村上被告には16年11月8日の会議で、この情報が伝えられたと認定している。

 さらに1審判決は「ファンドの利益を上げる戦略の一環として、自らLDを勧誘してその気にさせた結果であり、『聞いちゃった』のではなく、『言わせた』といえる。徹底した利益至上主義には慄然(りつぜん)とせざるを得ない」と指弾した。

 1審判決後の村上被告は株取引からは手を引き、災害救援活動を行うNPO法人などの支援に私財を投入し、ボランティア活動に取り組んでいるという。

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