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2008年08月18日(月) 08時00分

雇用開発機構、解体の意向 厚労省に不信 首相改革主導産経新聞

 茂木敏充行政改革担当相は17日、フジテレビ「報道2001」に出演し、厚生労働省所管の雇用・能力開発機構の見直しについて「大手術が必要だ」と述べ、「解体」でまとめていく考えを表明した。具体的に「私のしごと館」は「売却か廃止かを含めて抜本的対策が必要だ」と述べたほか、職業訓練指導員を養成するための「職業能力開発総合大学校」は廃止、失業者の再就職支援を目的に全国に61カ所ある「職業能力開発促進センター」も都道府県への移譲か廃止で検討していく考えも示した。

 政府が雇用・能力開発機構の解体で動きだしたのには、福田康夫首相が就任以来から強めている厚労省への不信感を無視することはできない。

 首相は13日、茂木氏を首相公邸に呼び、開発機構の見直しについて「早く結論出してくれ。決して厚労省から出てくる案を待つ必要はない」と指示した。

 これについて茂木氏は、17日、記者団に対し「厚労省がきちんとした改革案を作らないのなら、こちらで作る」と述べた。

 首相にとって、厚労省は就任以来「鬼門」になっていた。

 就任当初から年金記録紛失問題の対応に振り回され、昨年末には薬害肝炎訴訟への対策が後手に回ったことも支持率急落につながった。今年も、後期高齢者医療制度が通常国会で野党の追及材料になった。6月23日の記者会見で自ら表明した厚生労働に関する「5つの安心プラン」では、目玉だった厚労省改革で厚労省が出した答えは、民間有識者による懇談会で検討していくことにとどまった。

 首相や官邸サイドは「舛添要一厚生労働相から前向きな改革を打ち出すと期待したのに」(官邸筋)と落胆、その後首相は懇談会を舛添氏と官房長官の共管にすることを決断し、「厚労省には任せられない思いを強くした」(同)という。

 政府が昨年末に閣議決定した独立行政法人の整理合理化計画も、開発機構については厚労省の抵抗で結論が1年先送りとなった。厚労省がその後発足させた、民間有識者による「雇用・能力開発機構のあり方検討会」も、7月22日の中間報告では、抜本的な見直しに消極的な姿勢が出ていた。

 約580億円を投じて平成15年に開業した「私のしごと館」も、5年間で計77億円の国費を投入しなければならない状態にある。

 これに対し、厚労省は、しごと館や開発機構の解体に抵抗する構えだ。

 首相には厚労省の問題を解決させることで政権を浮揚させたいとの思惑もありそうだが、見直しが中途半端な結果になれば、逆に政権の足元をすくわれることにもなりかねない。(今堀守通、岡田浩明)

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