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2008年08月17日(日) 08時00分

北京五輪 外国メディア、IOCへ不満 人権・報道の自由 中国の現状座視産経新聞

 【北京=藤本欣也】北京五輪は16日、大会日程の半分を終えた。だが、国際社会に約束していた報道の自由や抗議集会を認めようとしない中国への批判とともに、現状を座視する国際オリンピック委員会(IOC)への不満が外国メディアの間で募っている。

 「中国政府は人権問題と報道の自由に関する約束を守らなかった。IOCは約束をほごにされて恥ずかしくないのか」。五輪公園のMPC(メーンプレスセンター)でほぼ毎日行われているIOCの記者会見で14日、英国のメディアから厳しい質問が飛んだ。

 これに対し、IOCの報道官は「五輪が社会体制に良い影響を与えるかもしれないという希望が確かに2001年にはあった」としつつ、「多くの分野で尽力がなされたことは留意しなければならない」と指摘。「競技がスムーズに行われているという事実を誇りに思う」と強調した。

 中国への批判を避けるIOCの態度にメディア側からは、「開催国の中国を怒らせないように自制しているのか」といった不満の声が上がっている。

 外国メディアの批判の背景には、中国政府が北京五輪を誘致する際に、「報道の自由」や「人権問題の改善」を国際社会に約束したという経緯がある。

 しかし、五輪開幕後も中国当局はインターネットの一部サイトへのアクセス規制を継続。8月に入ってからは新疆(しんきょう)ウイグル自治区で取材中の産経新聞などの記者を拘束したり、暴行を加えたりした。五輪会場近くでも13日、チベット独立支持者を取材中の英国人記者が一時拘束されている。

 中国当局は国内メディアに対する報道規制も継続し、開会式の少女の“口パク”問題に関する記事掲載を禁じ、過去の記事もネットから削除させた。

 基本的人権に対する規制も同様だ。中国政府は五輪期間中、北京の公園3カ所をデモ容認区域(事前許可制)に指定し、集会の自由の規制を緩和する姿勢をみせた。だが、まだ1件も許可されていない。北京五輪組織委員会は「管轄するのは公安当局で、われわれではない」と答えるのみだ。

 「共産党支配の現実と五輪前の約束の矛盾が露呈するのに1週間もかからなかった」(英紙フィナンシャル・タイムズ)と失望感が広がる中で、IOCは「北京五輪の評価は閉会後に行う」との立場を取り続けている。

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