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2008年08月16日(土) 00時00分

県迷惑防止条例改正1年余り読売新聞

カラス族 依然たむろ
路地にたむろするカラス族(JR宇都宮駅周辺の繁華街で)

 黒服姿の通称「カラス族」が、繁華街で行う風俗店の客引きやスカウトなどを規制した県迷惑防止条例の改正から1年余りが過ぎた。しかし、依然としてカラス族がたむろする光景はなくなっておらず、イタチごっこが続いている。(石川千佳)

難しい条例適用 「もう店は決まっていますか」——。15日午前零時すぎ、約500の飲食店や風俗店が並ぶJR宇都宮駅東口周辺には、カラス族約30人が数か所にたむろし、近くを歩く男性に次々に声をかけていく。中には、断る客につきまとったり、前をふさいだりして、一般の歩行者や車の通行を妨げている場合もある。

 昨年7月、風営法で規制できなかった無許可風俗店の客引き行為やスカウト行為などを規制するため、県迷惑防止条例が改正された。客待ちなどでたむろしている場合は、中止命令書を交付でき、その後も同じ場所にいれば、摘発できるようになった。県警によると、改正以降、県内で客引きが3件、スカウト行為で1件摘発され、県警幹部は「苦情の110番も減り、一定の成果を挙げている」と話す。

 しかし、今もカラス族が集まる光景は変わっていない。条例の適用が現実的に難しいからだ。

 たむろ行為の摘発には目的を立証することが求められ、県警幹部は「ナンパしていただけと答えられると摘発は難しい」と話す。また、中止命令書を交付しても、場所を移した場合には、再び命令書を出すことでしか対応できないという。

 県警は「カラス族だけでなく、不当な風俗店営業の取り締まりを視野に入れて、対策を強化していきたい」と意気込んでいる。

http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tochigi/news/20080815-OYT8T00901.htm