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2008年08月15日(金) 13時30分

名前も同じモモンガだけど実は他人の空似だった?R25

神奈川県内で、モモンガが絶滅を危ぶまれているというニュースがあった。皮膜を広げ、ヒラリヒラリと森を舞うことから別名“空飛ぶハンカチ”と呼ばれるモモンガ。あの個性的な皮膜はどうしてできたのか、江戸川区自然動物園勤務の長坂拓也さんに伺った。

「樹上でより生活しやすい形に進化したのでしょう。モモンガと近い先祖を持つリスも、ジャンプする時に四肢をなるべく横に広げ、体全体を平たくして空気抵抗を受けやすい姿勢をとります。モモンガのような皮膜があれば、空気抵抗を利用して落下速度を落とすことができるので、グライダーのようにして遠くの枝に到達できます」

そうして、何十mも滑空できるように進化したとは…モモンガ、スゴイ!

実は、まったく違う種でありながら、モモンガと同じように滑空する動物がオーストラリアにいるという。それが、フクロモモンガだ。「もともとはまったく別の種類の生物が似たような環境で暮らすうちに、姿形や生態系における立場などが似てくる」。生物学の世界で収斂進化と呼ばれるこの現象は、大小差はありながらも世界中で見られるのだそう。そのなかでも、モモンガとフクロモモンガの例は“最高傑作”のひとつといわれている。

ほかにもオーストラリアでは、オオカミなどとソックリに進化したフクロのある動物(=有袋類)が多数見られるのだそう(別表参照 ※R25.jpでは表が掲載されています)。それにしても、オーストラリアで収斂進化の例が多いのはなぜだろうか?

「オーストラリアは大陸移動のペースが速く、それにともなう環境の変化も大きかったようです。結果的に、大陸内に様々な環境が集約されました。そんな過酷な環境で、妊娠期間が短く、次々と妊娠できる有袋類が繁栄し、他の大陸で様々な進化をとげた動物と似た動物が偶然生まれたのです」(同)

離れた場所で、ソックリなものが生まれるのは環境が関係していたのか! 毎度騒がしいパクリ疑惑も、収斂進化ってことで丸く収め…られないか。
(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです

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