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2008年08月14日(木) 21時53分

<知的障害児施設>入所少女の利用料、ようやく公費負担に毎日新聞

 東京都内の知的障害児施設に入所する少女(14)について、都が正式な契約を交わしていないのに保護者に施設利用料の原則1割負担を求める「契約制度」を適用していた問題で、都が7月に公費負担の「措置制度」に変更していたことが分かった。父親が失踪(しっそう)し措置要件の「保護者不在」に当たると判断したためだが、父親の所在が分からなくなって3カ月間、都は対応を取っていなかった。

 父子家庭にいた少女は04年6月、父親の養育困難を理由に児童養護施設に入り、05年11月に現在の障害児施設に移った。06年10月、障害者自立支援法の本格施行で、都は少女に契約制度を適用したが、父親と施設は仮契約しか交わしていなかった。

 父親は腰痛で働けず、月約1万5000円の支払いを1年余り滞納。都営住宅の家賃も払えず、3月末に退去した後は行方不明になった。都の児童相談所は当初、父親と携帯電話で連絡が取れることを根拠に「保護者不在」を認めなかったが、6月末に電話連絡も途絶え、7月1日付でようやく「措置」に変更した。

 施設は少女の利用料や生活費を施設収入から工面していたが、小遣いや衣服代は不足しがちだったという。このため施設を運営する社会福祉法人が5月「他の入所児と『格差』を付けるのはしのびない」と、少女のために「返済不要の奨学金」を設け、滞納分の肩代わりを決めた。

 施設側は「父親が負担に苦しみ、追いつめられる前に措置にできなかったのか」と批判する。一方、児相を所管する都福祉保健局は「家庭状況などを確認して適切に判断するよう児相に指導した結果」と説明している。【夫彰子】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080814-00000115-mai-soci