記事登録
2008年08月14日(木) 21時00分

誘導灯の光に“影”/環境配慮、LED採用も売り上げ横ばいカナロコ

 改正建築基準法の影響による着工遅れが、建物の非常口や避難通路を照らす誘導灯に“暗い影”を落としている。照明器具製造販売の三菱電機照明(鎌倉市大船)は、消防法で設置が義務付けられている誘導灯に、業界で初めて白色発光ダイオード(LED)を採用。水銀不使用を実現し、環境への負荷を軽減した。今春から本格販売しているが、誘導灯を設置する建物の着工遅れから売り上げは横ばいが続く。「環境対策重視の追い風に、建設不況という逆風が吹いている状態」(同社営業本部)だ。

 開発した高輝度誘導灯は水銀を使わないほか、リモコンによる点検機能を採用。歌舞伎町ビル火災を機にした改正消防法を受けた対応で、高所に設置した誘導灯も簡単に点検できる。同社は二〇〇八年四月から誘導灯の約八割にLEDを採用、将来的には全面的に蛍光ランプからLEDに移行する方針だ。

 そこに折も折、やってきたのが着工遅れ。施設や住宅の着工件数と照明器具業界の動向は連動しており、業界全体でも五月現在の防災灯(誘導灯、非常灯含む)の需要は前年同月比より微減しているという。「建物が建たなければ照明は売りにくい。リニューアル需要に期待しているが、(着工遅れは)今が底であってほしい」と願う。

 原材料高も追い打ちをかける。鉄やガラスに加え、停電時用に内蔵しているニッカド電池向けのニッケル価格が上昇。価格改定を迫られ、七月一日に約2—5%の値上げを行った。

 「厳しい環境だが増収増益を目指す」。〇九年三月期決算の見通しについて、同社はそう説明する。親会社の三菱電機は照明器具の販売を強化、昨年に照明専門の営業担当者を本格配置した。営業力の向上に加え、CO2削減に貢献する製品の力で逆風を乗り切りたい考えだ。

◆改正建築基準法 07年6月20日施行。マンションなどの耐震偽装事件を受け、建築物の安全性確保を目的に、建築確認や検査の厳格化、特定行政庁による指導監督の強化などの措置を講じた。建築確認審査の遅れが住宅などの着工数減少を招いたとされ、運用の改善が求められている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080814-00000038-kana-l14