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2008年08月13日(水) 18時46分

緊迫のウイグル自治区 武装グループに15歳少女も産経新聞

 【シュレ(中国新疆ウイグル自治区)=野口東秀】検問所襲撃で3人の保安要員が刺殺され、襲撃犯が逃走した中国新疆ウイグル自治区シュレ県は事件から一夜明けた13日、道路での検問や身分証の検査が行われるなど、緊張した雰囲気に包まれていた。近隣のカシュガルでは今月4日、武装警察部隊が襲われて16人が死亡しており、同自治区は各地で厳しい警戒態勢がとられているもようだ。

 保安要員3人が刺殺された現場に通じる道路では、警官や警察指揮下にある保安要員10人ほどが検問していた。記者(野口)のパスポートをチェックした上で、「(政府の)許可がないと通過できない」と記者の行く手を阻んだ。

 地元政府の外国人管理部門に出向いても「事件に関する通知を受けていない」とにべもない。

 カシュガルの市街地に向かう道路でも、バスやタクシーから乗客全員を下車させ、身分証を丹念に調べるなど、緊張した雰囲気だ。

 カシュガル市内の武装警察部隊襲撃の現場では、破損した建物が覆いで隠され、向かいのホテルから警官が監視している。ウイグル族のタクシー運転手は「負傷した武装警官のうち、6人が病院で死んだと聞いた」と話し、「北京五輪が終わるまで襲撃事件は続くだろう。まきこまれたくない」と不安げな表情だ。

 新疆ウイグル自治区内の各地の主要道路で、爆弾の爆発に備えた土嚢(どのう)を積んだ検問所が設けられ、自動小銃を装備した警官らがすべての車両を止め、トランクなどを検査している。政府庁舎でも何度も厳しい荷物検査を受けた。

 五輪の治安に関係する中国筋は「テロリストの標的は明らかに北京五輪だ」と述べた上で、ウイグル族(独立派)が現体制、あるいは漢族支配に憎しみを抱いていることを否定しなかった。

 自治区内のクチャ県で10日、武装グループが公安(警察)局などを襲い、容疑者10人を含め12人が死亡する事件が起きたが、新華社電は武装グループに15歳の少女が含まれていたとしており、少女の関係者が当局に摘発されたのに対する報復との見方も浮上している。

 一方、新華社電によると、自治区西部の高速道路で12日午後、バスが横転し、25人が死亡した。テロとの関係は不明。新華社は「事故」と伝えている。

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