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2008年08月12日(火) 10時56分

DJ-ペトロブラス4-6月期、価格上昇などで過去最高益ダウ・ジョーンズ

サンパウロ(ダウ・ジョーンズ)ブラジルの国営石油会社ペトロブラス(NYSE:PBR)が11日発表した4-6月期決算は、原油や石油製品の価格上昇に加え、銀行小切手税の期限切れが有利に働き、四半期ベースで過去最高益となった。

同四半期の利益は前年同期比29%増の87億8000万レアル(54億1000万ドル)、売上高は同30%増の545億7000万レアル。この決算は同国の「一般に認められた会計原則(GAAP)」に基づいている。

4-6月期のEBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)は、前年同期比27%増の181億3000万レアル。

同社は決算リリースで、「国内外で原油や石油製品の価格が上昇したことなどが増収増益の要因となった。世界での原油価格の急騰、国内での石油・ガス生産量の増加と価格上昇など、あらゆることが過去最高益につながった」と説明した。

同社は5月2日、国内のガソリン価格を10%、ディーゼル価格を15%、それぞれ引き上げた。その前には、ナフサとジェット燃料を値上げしている。

ペトロブラスによる値上げは、同社の筆頭株主であるブラジル政府の影響を強く受けている。通常、国内価格の引き上げ幅は国際原油価格の上昇幅より小さい。

同社のアウミール・バルバッサ最高財務責任者(CFO)は記者会見で「当社の価格戦略は長期的な視野を持っている。国際原油価格が上昇するたびに国内価格を自動的に引き上げることはしない」と語った。

また「国内価格と北海ブレント先物価格は接近してきている。北海ブレントが1バレル=110ドルまで下落すれば、国内価格とほぼ同水準になる」とした。

ブラジルでは、銀行小切手税と呼ばれる暫定金融取引負担金(CPMF)が2007年末で期限切れになった。このことも、ペトロブラスの業績にとってプラス要因だった。CPMFの税率は0.38%で、事実上すべての金融取引に課税されていた。

ガソリンとディーゼルの国内での売上高は、同社の総売上高の約3分の1を占めている。

生産量の増加も業績向上に寄与した。数基のリグ(掘削装置)で生産を増やしたほか、リオデジャネイロ沖のカンポス海盆の主要な油田で操業を開始したことなどから、4-6月期の生産量が増加した。

同社によると、原油と天然ガスの総生産量は4%増加し、原油換算で日量239万バレルとなった。

バルバッサ氏は「生産量の見通しについては触れたくない。ただわれわれは、生産量が増加したとの認識を持っている」と述べた。また「新たな海洋掘削プラットホーム3基が年内に操業を始めるほか、今年設置した2基は年末までに生産量がピークに達する」という。

価格上昇と生産量の増加は、コスト増を相殺する以上の効果があった。陸上と海洋を合わせた1バレル当たりの原油生産コストは、14%増の9.88ドルとなった。これは、原油の供給を増やそうとする企業が増えるにつれ、掘削機器の調達費用や人件費が高騰するという、世界的にみられる現象の一環。

ペトロブラスは、石油精製施設の開発や輸送能力拡大のために、またブラジル南部沖のいわゆるプレソルト(海塩層下)での原油・天然ガスの鉱床開発のために、積極的な投資を続けている。08年上半期の総投資額は、前年同期比6%増の209億レアルだった。四半期ごとの数字は明らかにしていない。

この日の声明で同社は、プレソルト開発のための作業部会を4-6月期に立ち上げたことに触れ、「作業部会は、この新たな分野での探査・開発で基礎的な役割を果たす」とした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080812-00000018-dwj-biz