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2008年08月12日(火) 11時12分

星野ジャパンに一抹の不安…オーマイニュース

 8月8日、北京五輪が開幕し各競技が始まった。どんな競技に対してもメダル獲得への期待が高まっているが、今回が最後となる野球競技はプロ野球監督の経験がある星野仙一氏をヘッドに据え、各球団のスター選手を選んでいるためにメダル獲得への期待が一層強いようだ。

 しかし、私は星野ジャパンに対してマスコミ人気先行という印象を持っている。最大の理由は星野氏の監督としての手腕と実績である。

 そもそも星野氏が監督に選ばれた理由はマスコミでの人気が高いためだろうだが、マスコミで言われるような「名将」「名監督」と言えるかどうか、非常に疑問を持っている。

 星野氏は中日と阪神で合計13年間監督を務めたが優勝は3回であり、しかも日本一の経験はない。つまり、短期決戦に弱いということである。例えば88年の中日監督時代に後半戦独走優勝した際は、日本シリーズ前の下馬評では中日有利だったが、西武相手に1勝4敗と完敗した。阪神監督時代の03年もリーグ戦は独走優勝しながら日本シリーズでは福岡ダイエー相手に3勝4敗と惜敗した。

 ほかに名将と言われた古葉竹識監督は広島監督時代11年間でリーグ優勝4回、日本シリーズ制覇3回を数えた。野村克也監督はヤクルト監督時代、万年Bクラスだったチームを9年間でリーグ優勝4回、日本一3回達成させた。オリンピックは短期決戦である。ほかの監督と比べて短期決戦を制した実績がないのに名将と評されるのは疑問である。

 たしかに昨年のアジア予選では全勝で予選を突破した。しかし、ダルビッシュ・涌井・成瀬・上原・藤川・岩瀬など、日本の一流投手をそろえ、韓国、台湾など他国代表に比べて圧倒的に優れた投手力を有していたのだから勝って当然だった。「日本の宿敵」と評される韓国代表だが、昨年の予選を見る限り、日本代表と比べたら投手力は明らかに下だった。だが五輪本戦ではアメリカ・キューバなど世界の強豪を相手に戦うのでアジア予選と同じには行かない。

 星野氏が名将と評される理由は監督就任後、すぐに優勝するからである。しかし、その理由を見ると他球団の主力選手を大量に補強したことが大きい。例えば野村監督のように3年単位で選手を育成するというやり方はほとんどしてない。阪神監督時代でもドラフトで選手を獲得育成したということはない。

 日本の国内リーグなら他球団の選手を大金投じて獲得するやり方でもいいが、国際試合ではそれは通用しない。現有戦力で何とかするしかない。つまり、星野氏には短期決戦制覇と選手育成という実績がないのである。

 過去にも日本のメディアは五輪前には楽観論を並べ立てておいて、結果が悪いと一斉にバッシングというパターンを繰り返している。今回もそのならないことを祈るばかりだ。


(記者:長迫 厚樹)

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