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2008年08月09日(土) 10時00分

【トレンド】食後血糖値が気になる人のための新商品。JTが提案する食後に一杯のトクホコーヒーnikkei TRENDYnet

 この夏、食後血糖値が気になる人向けのトクホ(特定保健用食品)の缶コーヒーが登場する。JTが8月25日に発売する「このごろ気になる自分の生活」だ。コーヒー飲料でトクホを取得していた商品にはAGFの「ブレンディ 香るブラック」があるが、こちらは「体脂肪が気になる人向け」の商品だった。また、これまでにも食後血糖値上昇を穏やかにするトクホの粉末コーヒーはあったが、飲料タイプでは今回が初めてとなる。

【詳細画像または表】

 JTが血糖値に着目したのは、血糖値が生活習慣病に特に深く関係すると判断したからだ。そもそも血糖値は、今年話題のメタボリックシンドロームの診断基準に関係してくる一項目。腹囲(内臓脂肪蓄積)が男性で85cm以上、女性で90cm以上の場合、血中脂肪(中性脂肪150mg/dl以上、HDLコレステロール40mg/dl未満)、血圧(収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上)、血糖値(空腹時血糖値110mg/dl以上)の3項目のうち2項目が基準値を超えた場合に、メタボリックシンドロームと診断される。中でも血糖値は、高いと糖尿病の要因となるのはもちろん、余分な糖は脂質、コレステロールとなるため、脳血管疾患、心疾患も引き起こす。「そこに対策を講じることで、生活習慣病対策に大きな効果がある」(日本たばこ産業飲料事業部・寺澤一ブランドマネージャー)。3年前に開発に着手し、この夏に発売が決まった同商品が、JTにとって初のトクホ商品となった。

毎食後のコーヒーで血糖値対策

 では、なぜコーヒーなのか。これまでにあった血糖値対策のトクホ飲料は、カルピス「健茶王」、アサヒ飲料「食事と一緒に十六茶」、大正製薬「グルコケア」(緑茶風味の清涼飲料水)、ヤクルト「蕃爽麗茶」など、お茶ばかりだった。いずれも食事をしながら飲むタイプだが、毎回、お茶が合う料理ばかりとは限らない。その点、コーヒーなら食事内容に関係なく毎食後に飲みやすい、というのが一つの理由だ。

 もう一つの理由は、「食後のコーヒー」なら全量を飲みやすいというもの。JTの「このごろ気になる自分の生活」の容量、すなわち1回に飲む量は150ml。これは、広く普及している缶コーヒー(ショート缶)の容量190mlを下回るもので、食後に飲みきるのが苦になる量ではない。対して、従来の血糖値対策のトクホのお茶飲料の場合、1回に飲む量が「健茶王」で200ml、「食事と一緒に十六茶」で250ml、「グルコケア」で190ml、「蕃爽麗茶」で200mlとなっている。JTのトクホコーヒーより量が多い上、「食事をしながらチビチビダラダラ飲むことで飲み残してしまい、必要量が摂取できないことがある」(日本たばこ産業飲料事業部・赤木直子アシスタントブランドマネージャー)。

 ただし食後に飲むにしても、ゆっくりのんびりと飲んでいいわけではない。食べたものが腸に届き、糖が吸収されてしまってから飲んでも意味がないのだ。なぜ食後速やかに飲むのが望ましいのか。それは、同商品が食後血糖値の上昇をおだやかにするメカニズムに関係する。

メカニズムは他製品と同じ

 JTの「このごろ気になる自分の生活」が、食後血糖値の上昇をおだやかにするのは、配合された難消化性デキストリンの働きによる。水溶性食物繊維であり、人体で消化吸収されない難消化性デキストリンは、食べ物と一緒に小腸まで到達。そこで、腸管が糖を吸収するのを阻害するのだ。カルピス「健茶王」、アサヒ飲料「食事と一緒に十六茶」、大正製薬「グルコケア」(緑茶風味の清涼飲料水)も、血糖値に関与する成分として難消化性デキストリンが配合されており、血糖値上昇をおだやかにするメカニズムは同じだ。

 20代〜40代の食後血糖値が上がりやすい50人を対象にJTが行った臨床実験では、難消化性デキストリン配合ブラックコーヒーを食後(5分後)に摂取することで食後血糖値の上昇を約10mg/dl抑制したとの結果が出ている。従来の血糖値対策トクホ飲料の臨床実験は、いずれも食事中の飲用で行っており、食後の飲用で効果を実証したのは初めてだ。食後に飲んで、血糖値の上昇をおだやかにする効果がある商品として厚生労働省がトクホとして認定。缶には許可表示として、「1日当たりの摂取目安量:お食事のあとに、1回150mlを目安にお飲みください。」とある。商品パッケージでも最も大きな文字で印刷されているのが「食後」の2文字。商品名の「このごろ気になる自分の生活」は、控えめだ。知らずに買う人は、どっちが商品名か分からないだろう。もちろん食後限定品というわけではなく、食事中に飲んでも効果は期待できる。ちなみに10mg/dlの食後血糖値抑制効果は、「食事制限で例えればおにぎりを1個減らした程度。運動で例えれば、50分間のウォーキング、あるいは20分間のジョギング、あるいはカラオケで16曲(1時間半)を連続で歌って得られる効果に等しい」(赤木アシスタントブランドマネージャー)。

飲み過ぎると下痢の恐れ

 1食につき1本、1日3本が摂取の目安。難消化性デキストリンは整腸作用があるため、飲み過ぎ、体質・体調によっては下痢をすることもあり、たくさん飲めばいいというものでもない。また、糖尿病を患い投薬治療を受けている患者の場合、摂取することで低血糖を引き起こす恐れも。そういう人の場合、使用前に医師に相談する必要がある。

 砂糖・ミルクなしのブラックで、比較的さっぱりしていて飲みやすい。トクホだからといって、普通の缶コーヒーと味が違うわけではない。温めて飲んでも効果が落ちるわけではないので、夏は冷たく、冬はホットにして飲める。ただし先述したように、ホットにしても、ゆっくりチビチビ、という飲み方でいいわけではない。猫舌の人は、冬は常温で飲むのがよいのだろう。

(文/中須譲二=日経トレンディネット)

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