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2008年08月09日(土) 10時00分

【トレンド】3年ぶりの主演となるミムラが引っ張る落語映画は“真打”になれるのか!?nikkei TRENDYnet

 7月30日、文京区の椿山荘にて、映画『落語娘』のプレミア試写会が行われた。

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 「東京ゆかた散歩」と題した試写会会場には、浴衣を着た観客が集まり、主演のミムラ、津川雅彦、伊藤かずえのほか、落語家の柳家喬太郎(やなぎや きょうたろう)、原作者の永田俊也、監督の中原俊が浴衣姿で登壇した。

 『落語娘』は、真打を目指し、奮闘するヒロインの姿を描いた人情喜劇。原作は“落語スリラー“と称される永田俊哉の同名小説。落語には欠かせない笑いと人情に加え、“禁断の怪談話”といういわくつきのミステリーを織り交ぜた落語エンタテインメント作品だ。

 メガホンを取ったのは、『櫻の園』『12人の優しい日本人』の中原俊監督。「末広亭の楽屋が、一番力を入れたところです。かなり精巧に再現しました」と語るとおり、映画には、落語の世界を映し出す木造の家屋、畳の部屋、手書きの帳面、そして下町風情などの“古き良き日本”がある。楽屋から小道具に至るまで落語家たちの日常をリアルに描き出している。

 そして、その精巧な再現に大きな役割を担ったのが、人気落語家の柳家喬太郎だ。落語指導はもちろん、楽屋での細かい所作から小物の使い方を徹底指導したという。

 ヒロイン役のミムラは「とにかく脚本が面白くて、どんな形でもいいから参加したかった」と語る。3年ぶりの主演作ということもあり、「顔に乳酸がたまり、ブヨブヨになるほど稽古をした」というほどの力の入れ込みようだ。

 指導にあたった柳家喬太郎も「こんなに教えがいのある弟子はいない。少し直しただけで、面白いように直ってくる」とミムラの頑張りぶりを誉めた。またその師匠役の津川雅彦については、「もうダメなところがないくらいでした。一生懸命、アラ探ししている自分の方が惨めになりました(笑)寄席のトリをやっていただきたいくらいです」と津川を大絶賛。

 一方、津川は、落語界を舞台にした映画『寝ずの番』を監督した経験はあったが、自身が落語家を演じるのは、初挑戦だったという。「落語家を演じるのは初めてでしたね。というのも、私ども一家の家訓として“芸人の役はやっちゃいかん”というのがありまして。特に歌舞伎や落語はウソがつけない。ゴマカシの効かないものはやっちゃいかんと。なので、最初はオファーを断るつもりだったんですが、『ロッキー・ザ・ファイナル』を観ましてね。60歳を過ぎたおじさんが頑張っているのを観て、身につまされて泣いた。それで『ツガワ・ザ・ファイナル』をやってやろうと、引き受けたんです」と出演の理由を独特のユーモアで語り、会場を沸かせた。

 さて、気になるのは、落語を取り上げた本作がヒットを飛ばし、落語映画の“真打”になれるのかという点だ。今年で3年目となる落語ブームから考えると、今が正念場の位置にあり、本作に寄せる期待は大きい。

 落語ブームと言われるようになったのは2005年からで、火付け役はTBS系列で放映されたドラマ「タイガー&ドラゴン」だった。この頃から、都内の寄席の客入りは目立ってよくなり、客層も若返っているという。

 また、出版界にもブームは飛び火し、落語の関連本はもちろんのこと、落語家を主人公にした小説も増えた。本作の原作本が発売されたのもまさに2005年のブーム到来時だ。

 当然、映画やテレビが放っておくわけもなく、昨年は、不器用な人々が落語を通して絆を深めていく映画『しゃべれども しゃべれども』や、三遊亭圓朝の名作怪談落語「真景累ケ淵」を映像化した『怪談』が登場。さらに、女流落語家を主人公に描いたNHK連続テレビ小説「ちりとてちん」が落語人気に拍車をかけ、落語ブームは一つのピークを迎えた。

 そして今年は、いわゆるブーム到来から3年目。ブームの終焉か、それとも落語モノ人気が定着したか、見極めの時期にさしかかっている。しかも、本作は、人情、怪談、そして女流落語家と、まさに昨年の落語モノの“いいとこどり“をした作品と言える。もし、この作品がヒットすれば、落語は長期的な“お宝ネタ”としての可能性も開けてくる。

 舞台あいさつが始まる前、司会を務めた女流落語家・林家ぼたんが「最近、落語ブームなんて言われていますが、このブームの行く末も『落語娘』にかかっているといっても過言ではありません」と本作を紹介したのだが、それもあながち大げさとは言えないかもしれない。

(文/柏木しょうこ)

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