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2008年08月09日(土) 21時55分

<南オセチア>露「人道上の大惨事」 避難民受け入れ表明毎日新聞

 【モスクワ大木俊治】ロシアのメドベージェフ大統領は9日、グルジア軍が進攻した南オセチア自治州の現状を「人道上の大惨事」と指摘し、負傷者の手当てや避難民の受け入れなど人道支援に全力を挙げるため隣接するロシア領の北オセチア共和国にショイグ非常事態相を派遣した。北京五輪開会式に参加するため訪中していたプーチン首相も同日帰国し、避難民対策にあたるため急きょ同共和国を訪れた。ロシアはグルジアの行為の非人道性を内外にアピールする作戦に出ているようだ。

 インタファクス通信によると、プーチン首相は9日、帰国の途上でシベリアのクラスノヤルスクにある若者のキャンプ場を訪れる予定だったが、これを変更して北オセチア共和国の首都ウラジカフカスに直行した。

 北オセチアには南オセチアからの避難民がバスなどで次々に到着し、負傷者はウラジカフカスの病院などで手当てを受けている。首相府によると、プーチン首相は地元政府幹部らと避難民や受け入れ先への支援策を協議する予定。すでに非常事態省は移動式病院を同共和国に空輸した。

 ロシアのソビャーニン副首相は9日、この2日間で3万人以上の避難民がロシア領に運ばれたと明かし、戦闘開始前に脱出した避難民と合わせると避難民の総数は5万人に上ると指摘した。

 ロシアのテレビは8日から、グルジア軍のミサイル攻撃で破壊された南オセチア自治州の州都ツヒンバリ市内の模様を放映。廃虚と化した住宅は真っ黒に焦げ、戦火のすさまじさを物語る。水道や電気も止まっているという。テレビはグルジア軍の無差別攻撃を非難する多くの地域住民のインタビューを伝えている。

 一方、南オセチア独立派政府のメドーエフ駐露代表は8日、モスクワで記者会見し、グルジア軍の進攻を「民族浄化が狙いだ」と非難。独立派支配地域の多数派オセット人を追放し、グルジア人が占有することを狙っていると訴えた。ラブロフ外相も同日、「民族浄化」という言葉を使ってグルジア軍の行為を非難した。

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