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2008年08月09日(土) 16時11分

南オセチア紛争 露が猛攻、戦火拡大 グルジア近く戒厳令 死者1400人か 産経新聞

 【モスクワ=遠藤良介】旧ソ連グルジアの親ロシア分離派地域、南オセチア自治州をめぐる情勢に軍事介入したロシアは9日未明現在、同自治州に進攻していたグルジア軍と激しく交戦するとともに、グルジア各地の基地や民間施設を空爆する猛攻に出ている。国際社会の停戦呼びかけにもかかわらず戦火は拡大しており、グルジアは近く戒厳令を発して総力戦に出る構えだ。

 露国営イタル・タス通信などによると、同自治州に派遣されたロシア軍部隊は、州都ツヒンバリ周辺でグルジア軍と激しい戦闘を展開、グルジア側の攻撃拠点を破壊するなどした。グルジアのサーカシビリ大統領はテレビ演説で「ツヒンバリと周辺の高地はグルジア軍が掌握している」と述べたものの、その後に南オセチアの幹部がこれを否定するなど、戦況をめぐる情報は錯綜(さくそう)している。

 ロシア軍は、グルジアの首都トビリシ近郊にある複数の軍事基地のほか、黒海沿岸のポチ港を空爆した。ロシアが南オセチアへの「平和維持部隊」増派にとどまらず、グルジア領内に深く侵攻して攻撃を本格化させた形で、ロイター通信はサーカシビリ大統領が戒厳令を発する見通しだと伝えた。

 グルジアはすでに予備役に召集をかけたほか、近くイラクに派遣している部隊の半数に当たる約1000人を帰国させて徹底抗戦に備える方針だ。

 ツヒンバリ市内ではグルジア軍の砲撃で多くの建物が破壊され、電気や水道といったライフラインも途絶えているもようだ。南オセチア大統領を自称するココイトイ氏はインタファクス通信に犠牲者が1400人以上にのぼったと語った。

 一方のサーカシビリ大統領は、グルジア側の犠牲者を兵士ら約30人としている。南オセチアからは戦火を逃れてロシア南部の北オセチア共和国などに数千人が避難しており、難民の受け入れ態勢も問題となりそうだ。

 ロシアのメドベージェフ大統領は8日夜、ドイツのメルケル首相と電話で協議し、「ロシアは南オセチア自治州での暴力を停止するため、しかるべき軍事・政治手段をとる」と述べた。

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080809-00000101-san-int