記事登録
2008年08月09日(土) 14時07分

露・グルジア戦闘激化、死者「1400人以上」情報も読売新聞

8日、独立派兵士に護衛されながら避難する南オセチヤ自治州の住人=AP

 【モスクワ=瀬口利一】グルジアからの報道によると、同国からの分離独立を求める南オセチヤ自治州に進攻したグルジア軍とロシア軍は8日深夜から9日未明にかけて、州都ツヒンバリ南部などで激しい戦闘を展開。

 8日夜には、露軍機がグルジアの黒海沿岸都市ポチと付近の軍事基地を空爆するなど、戦闘は拡大の様相を呈している。

 グルジアのサアカシビリ大統領は8日夜、テレビを通じた声明で、露軍機の空爆でグルジア軍兵士ら30人が死亡したと明らかにした。

 一方、インターファクス通信によると、同自治州の独立派指導者ココイトゥイ大統領は、グルジア軍進攻による市民らの死者が「1400人以上にのぼった」と述べた。首都トビリシの主要病院には、戦闘に巻き込まれて負傷した市民ら約400人が担ぎ込まれているという。

 露軍司令部によると、露側兵士の9日までの死者も15人、負傷者は150人にのぼった。

 グルジアのメディアは9日未明、サアカシビリ大統領が同日中にも全土に戒厳令を発令する見通しだと伝えた。戦闘激化を受け、グルジア政府高官は8日、AFP通信に対し、イラク駐留中のグルジア兵1000人を撤収させ、南オセチヤ戦線に近く再配置すると語った。

 トビリシでは、国家機関や戦略重要施設から退避するよう勧告が出され、一部住民が避難を始めたという。ロシア軍の同自治州進攻やグルジア領への空爆攻撃を受けて市民らに動揺が広がり始めたとみられる。

 戦況を巡っては、サアカシビリ大統領がテレビ演説で「(州都の)分離勢力は掃討された」と述べ、8日夜までに、グルジア軍が同自治州の北部を除くほぼ全域を制圧したと主張。これに対し、露軍側は、グルジア側の攻撃拠点の破壊に成功し、州都は独立派勢力がほぼ支配下に置いていると説明しており、双方が情報統制を敷いている可能性が高い。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080809-3758656/news/20080809-OYT1T00281.htm