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2008年08月08日(金) 09時58分

グルジア、南オセチアに開戦 死傷者多数、州都制圧へ激しい攻撃産経新聞

 【モスクワ=遠藤良介】ロシアでの報道によると、グルジア軍は8日未明(日本時間同)、同国北部で事実上の独立状態を享受する親露分離派地域、南オセチア自治州への大規模な攻撃に乗り出した。すでに自治州内の5つの村落を占拠、戦車部隊が州都ツヒンバリを包囲し、制圧に向かっている。同自治州では多数の死傷者が出ている模様だ。

 国営ロシア・テレビは「グルジアが南オセチアに宣戦を布告した」と伝え、ロケット弾などによる激しい攻撃で、轟音とともに夜空が明るくなっている様子の映像を現地から放映している。グルジア軍幹部は同国のテレビ放送で「ツヒンバリ地方の憲法秩序を回復するための作戦に着手した」と語った。

 南オセチア自治州に「平和維持部隊」を派遣しているロシアの外務省は、開戦直後から緊急会合を開いて対応を協議。マラホフ報道官はそれを受け、「グルジア指導部は(武力攻撃を)思いとどまり、問題の文明的な解決の道に戻るべきだ。国際社会が(この問題を)傍観しないことも期待する」と述べた。

 国連はロシアの要請により、安全保障理事会の緊急会合を開催することを決めた。

 グルジア領内の別の親露派分離派地域であるアブハジア自治共和国やロシア南部の北オセチア共和国からは、南オセチアを支援する戦闘員が現地に向かっていると伝えられ、交戦がさらに激化する可能性もある。

 南オセチア自治州は1990年末、ロシアの北オセチア共和国への編入を求めて中央政府と開戦。92年の停戦後も、同自治州はロシアの庇護下で独立状態を享受し、周辺ではグルジア軍との小規模な戦闘が散発していた。今年2月のコソボ独立を受け、アブハジアと南オセチアでは独立を求める動きが再燃し、ロシアはグルジアの北大西洋条約機構(NATO)加盟を阻止すべく両地域への支援を強めていた。

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