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2008年08月08日(金) 14時40分

<ストーカー判事>裁判員制度に影響毎日新聞

 下山判事への有罪判決(8日)は、司法に対する国民の信頼を大きく傷付けた。市民が刑事裁判に参加する裁判員制度のスタートを来年5月に控え、積極的な広報活動を続けてきた裁判所は、信頼回復への努力を迫られる。

 最高裁によると、現職裁判官への有罪判決は2例目。最初の例は01年、東京高裁判事が児童買春禁止法違反で有罪とされた。司法制度改革論議が大詰めを迎えていた時期だった。そして下山判事の逮捕は、裁判員制度開始のちょうど1年前の今年5月21日だった。

 裁判所関係者は一様に事件を「個人的な問題」とみる。しかし、地裁支部長と部下をめぐる不祥事でもあり、裁判員制度への悪影響を懸念する声は少なくない。最高裁も起訴の6日後、国会の裁判官訴追委員会に弾劾裁判での罷免を求め、迅速な対応を見せた。

 裁判員となることに多くの国民が不安を持つ。その中で裁判官は、適切な争点整理と訴訟指揮▽裁判員の意見を引き出す評議の進行−−など多岐にわたり重要な役割を果たす。裁判官の対応が、制度成功の大きな鍵と言え、改めて高い職業倫理と職責の重大さの自覚が求められる。【北村和巳】

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