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2008年08月08日(金) 10時17分

部下の女性に執拗なメール、宇都宮地裁判事に有罪判決読売新聞

 部下の裁判所職員の女性に執拗(しつよう)にメールを送ったとして、ストーカー規制法違反の罪に問われた宇都宮地裁判事・下山芳晴被告(55)の判決が8日、甲府地裁であった。

 渡辺康裁判長は「現職の裁判官が司法に対する国民の信頼に反して、個人の名誉を傷つけるなどしたストーカー行為は、誠に恥ずべき行為で刑事責任は重い」として懲役6月、執行猶予2年(求刑・懲役6月)を言い渡した。下山被告は控訴しない方針。

 現職の裁判官が有罪判決を受けたのは、2001年に児童買春・児童ポルノ処罰法違反罪に問われた東京高裁判事に続いて2人目。

 渡辺裁判長は「行動を監視していると思わせたり、卑わいな内容を繰り返し送ったりしており、巧妙かつ悪質な犯行」と断じ、「被害者からの相談に親身に応じるようにして被害者の心をもてあそんだ」と述べた。執行猶予を付けた理由は「被害者に自らの犯行を告白して謝罪しており、弾劾裁判所で罷免される可能性が高い。事件が広く知れわたり、社会的制裁を受けている」とした。

 判決によると、下山被告は甲府地家裁都留支部長だった2月19日〜3月19日、20歳代の女性職員の携帯電話に、東京都文京区の自宅など4か所から16回にわたり恋愛感情を満たす目的で、「今何してる? もうお風呂入った?」などのメールを送信した。

 法廷の下山被告は手を前に組んで前を見据えて判決に聞き入り、朗読が終わると裁判長に一礼した。判決後、弁護人を通じて「被害者をはじめ関係者に多大な迷惑をかけ、申し訳ございません。判決を厳粛に受け止め、今後の日々を過ごしたい」とのコメントを明らかにした。

 国会の裁判官訴追委員会は、今回の判決と下山被告から聴取した内容などを検討したうえで、9月までに国会の裁判官弾劾裁判所に訴追するかどうかを決める方針。弾劾裁判で罷免されると、少なくとも5年間は法曹資格がはく奪される。下山被告が罷免されれば、戦後6人目となる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080808-00000011-yom-soci