記事登録
2008年08月08日(金) 19時12分

アメリカ人が太る、知られざるもう1つの理由ツカサネット新聞

自身、色々なダイエットに挑戦した経験のある私としては楽してやせる事はできないのを身を持って知っている。病的に太ってしまった人が手っ取り早く体重を落とすやり方に、腹周りの脂肪を吸い出すリポサクションという、危険を伴い、かつ高額な料金がかかる方法があるが、自分で付けた脂肪は自分で努力して落とすべきだと私は思う。

摂取カロリーを減らし(私の場合は飲酒を控え)、運動をする、これでやせない人はいないと言っていいだろう。

元々アメリカ人の食生活は日本人に比べるとかなり高カロリーなのだが、4人に1人は肥満、と言われるアメリカでは極度に肥満していても、特に危機感もなく暮している人も多い。その理由を自分なりに考えてみると、アメリカ人は容姿や体型についてあれこれ話題にする事は礼を失する事だと教えこまれているからではないだろうか。

Did you put on weight?(少し体重が増えましたか?)

ぐらいがギリギリセーフで、ファット(太っている)は当然の事、プランプ(豊満な)もあまり使うべきではないのだ。女性の体重を云々すればセクハラで訴えられかねないので、特に男性は恐ろしくて体重を話題にできないのだ。

所変わって、日本では日常的に「あら、太った?」「ちょっとやせた?」などと体重の増減、体型の変化について言葉を交わす。それがイヤでしょうがない、という話はあまり聞かない。肥満体の人に対して「太っていますね」などと面と向って言う人はいないだろうから、あくまでも病的肥満以外に限られる、世間話の範囲内の話題なのだ。

私の場合、自分の理想体重からプラス5キロぐらいで(そろそろヤバイかな…)と思い始める。周りの人々も「太ったわね」と言い始める。家族などは「トドみたい」と容赦がない。そこまで言われれば私も(ダイエットのしどきだな、頑張ろうかな)という気になろうというものだ。が、体重が増え続けても誰からも何も言われないのでは自分では気付かないまま、プラス10キロ、プラス20キロと際限なく増えていってしまうのではないだろうか。


「スーパーサイズ・ミー」という勇気あるドキュメンタリー映画があった。その中で「喫煙は健康に良くないから禁煙したらどうかね、などと他人に対して進言する事は特に礼を失する行為ではないのに、やはり健康に良くない肥満体型の人に向ってやせたらどうかね、などと言う人はいない、いつか言えるような日が来るんだろうか」と言う場面があった。やはりアメリカ人に取っては肥満の話題はタブーなのだ。

体重について口にしないというのは大変麗しい礼儀のようでいて、アメリカの国民病とも言える肥満に一役も二役も買っているように私は思うのだ。


(記者:南 五月)

■写真
写真撮影:南 五月記者

■関連記事
南 五月記者の書いた他の記事
「海外・海外からの便り」カテゴリー関連記事

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080808-00000012-tsuka-int