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2008年08月06日(水) 13時35分

全財産はたいて北京に住んでみた(2)オーマイニュース

 全財産をはたいて、オリンピック開会直前の北京で高級マンション生活を始めた記者。北京到着の翌日、高層マンションから下界に降りて市街の探検に出かけた。

■まずは公安に出頭

 最初の探検先は、地元の公安だ。中国に滞在する外国人は到着後24時間以内に所轄の警察署(公安)に届け出なければならない。ホテル宿泊者の場合、ご親切にもホテル側が勝手に客の個人情報を警察に横流しして届け出をしてくれているのだという。しかしマンション住まいの記者は、自分で警察に行かなければならないのだ。

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 通訳に案内してもらいドキドキしながら公安に行った。ところが、「マンションのオーナーが同伴しなければ手続きできない」と言われ、突き返されてしまう。

 「24時間以内に手続きしなければならないんですが、明日オーナーを連れてくればいいと公安が言っています」(通訳のKさん)

 いい加減な話だが、こちらとしては気楽でいい。公安を出て、地下鉄駅前でレンタサイクルを借りることにした。

■北京探検にはレンタサイクル

 レンタサイクルはデポジット180元(約2700円)とレンタル料金1カ月30元(約450円)で利用できる。1回乗車の運賃が2元(約30円)の地下鉄も安さでは負けていないが、街の空気を肌で感じながら探検するには、やはり自転車がうってつけだ。

 PJニュース編集長の小田光康さんとともに自転車を借り、まずはマンションの部屋から見下ろした「貧民街」に突入した。ほとんどの家がレンガ造りで、住人もおらず崩れかかった家屋もあれば、いまも人が住んでいる家屋もあった。

 住人たちは細い私道で立ち話をしたり、玄関前に座って、何をするでもなくのんびりしたり。マージャンや中国将棋、トランプなどに興じている人々もいる。野菜や果物を売る商店もあった。中国映画に出てくる田舎の風景にも似た、のどかな雰囲気だ。

 建物は古いが退廃的な空気が漂っているわけではなく、治安の悪さも感じない。より正確に言い表すなら、「貧民街」というより下町や横町と言った方がふさわしいかもしれない。

 写真やビデオを撮影していると、住人からいぶかしげな顔で見つめられる。しかし「ニーハオ!」と手を振ると笑顔で手を振り返してくれる。

 「早く移転すれば、早く利益が得られる。遅く移転すれば、少ししか利益を得られない」

 そんなビラが、いたるところに貼られていた。どうやら立ち退きを迫られているようだ。

■市街開発・整備はちぐはぐ

 自転車で天安門を目指す。途中、大通り沿いの巨大なビジネスビル群の間を通り抜けたが、ビルのすぐ裏側には、先ほどと同じような貧民街がいたるところに見られる。まるで貧民街を覆い隠すためにビルが建てられているかのようだ。

 天安門近くにも「胡同(フートン)」と呼ばれる古い住宅地があるが、こちらは観光客の通り道に近い家屋だけが一様に壁をグレーに塗られており、一見こぎれいな庶民家屋のように見える。しかし細い通りの奥をちょっと覗けば、崩れかかった家屋などが散在している。

 記者は、中国といえば一党独裁国家の強みで何事も一斉に徹底して行われるというイメージを持っていた。しかしこうして見ると、市街の整備は粗も目立つ。自転車で少し走りまわるだけで、庶民の生活をこれだけ目の当たりにすることができるのだ。

 次回、現地取材中のベテラン・スポーツ記者を加え、小田さん、記者(=藤倉)の3人で行った「マラソンコースをやや走破」をリポートする。

(記者:藤倉 善郎)

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