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2008年08月01日(金) 08時01分

グッドウィル廃業 転職支援…グループ再建への試金石産経新聞

 人材派遣大手のグッドウィル・グループの子会社で日雇い派遣最大手のグッドウィルが31日、廃業した。違法派遣や給与からの不透明な天引き、労災隠しなど相次ぐコンプライアンス(法令順守)の軽視が重なり、「廃業」という最悪の結果を招いた。

 グッドウィルは、来週中に東京労働局に事業廃止届を提出する。その後は、派遣スタッフの不当な給与天引き費用の返却、社員・スタッフの転職支援など残務処理のため、会社は当面存続する。

 登録スタッフ約6000人のうち、他社登録も含め転職が決まった人は3600人で、「自分で職を探すと斡旋(あっせん)を断った人が1500人いる」(グッドウィル広報)という。社員4200人(6月末)は派遣会社やIT企業など270社から求人があり、面接中だ。

 同日、派遣スタッフで組織する「派遣ユニオン」の組合員ら約30人が、東京・六本木のグッドウィル・グループ本社前で雇用確保などを訴えた。関根秀一郎書記長は「ワーキングプア拡大の一因はグッドウィルにある。(グッドウィル・グループ前会長の)折口雅博氏はしっかりと説明、謝罪すべきだ。多くの問題が未解決のままの廃業は許されない」と話した。元派遣スタッフの40代男性は「廃業しても、責任追及の手は緩めない」と語気を強めた。

 グッドウィルの平成20年6月期の売上高は約850億円、経常損益は50億円の赤字となる見通し。グッドウィル・グループの売上高に占めるグッドウィルの割合は約15%に縮小した。廃業に伴う特別損失は約150億円で、グッドウィルグループは同期最終損益の赤字を90億円から300億円に業績修正している。

 グッドウィル・グループは米系投資ファンドの支援で負債を大幅に減らし、技術者派遣や海外事業に注力する。9月下旬の株主総会では社名を変更して出直しを図る考えだが、不祥事で失墜した企業イメージの回復は難しい。まずは失職した社員や派遣スタッフの転職支援をしっかり行うことが、社内外の再評価の試金石となりそうだ。

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