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2008年08月01日(金) 19時00分

最後にケーブルに軍配が上がった!オーマイニュース

 7月29日、朝日新聞(西部本社版)の経済面は、「29日、福岡の民放テレビ4社が、大分県内のケーブルテレビ4社への地上デジタル放送での再送信を事実上認めた」と伝えていました。

 扱いは小さいものでしたが、「デジタル化後も見せてもらえるのか」と気をもんでいたであろう人々には、大きな喜びとなることでしょう。

 この再送信問題にかかわっているのは、福岡側がKBC(九州朝日放送)、RKB毎日放送、TNC(テレビ西日本)、FBS(福岡放送)の各社、大分側は大分ケーブルテレコム、大分ケーブルビジョン、別府市のCTBメディア、ケーブルテレビ佐伯の各社です。

  2007年3月に私が書かせて頂いた「ケーブルテレビ局vs県域テレビ局の“地域争奪戦”」という記事の中でご紹介した日田市内のケーブル2社以外にも、大分県内ではご紹介したケーブルテレビ局が、福岡の民放を配信しています。http: //www.ohmynews.co.jp/news/20070410/5889

 大分県内に日本テレビ系やテレビ東京系のフルネット局がなく、あってもアンテナで受信できるのは一部の地域しかないことが最大の理由です。

 そこに、地上テレビの完全デジタル化という問題が起こり、県域局の利益のため、区域外の民放の配信を認めない日本民間放送連盟の方針も手伝って、福岡側4社は「大分側4社は大分の民放だけ放送していればいい」と、視聴者の権利を無視する態度をとり始めます。

 事態を重く見た大分側4社は2007年3月、福岡の民放を引き続き配信するため、総務省に「大臣裁定」を申請し、認められています。それについて福岡側 4社は異議を申し立ていましたが、29日、双方が再送信に同意したことで取り下げられました。これにより、2011年に予定される地上波の完全デジタル化後も、大分側4社の契約者は、引き続き福岡の民放にアクセスできます。

 今回の総務大臣裁定が正式に認められたことは、大分側4社と、4社にアクセスしている市民の皆さんには大きな勝利です。

 この勝利は、区域外再送信の問題を抱え、実際に民放各社との協議を続けている多くのケーブルテレビ会社や、その契約者を励ます大きな力になることでしょう。

 アナログ放送でアクセスできたチャンネルがデジタル放送で封じられることは、電波のさまざまな法則上も道理ではなく、憲法の幸福追求権にもかかわります。

 民放テレビ各社は、こうした幸福追求権やものの道理にも配慮しつつ、長年アナログでアクセスできたチャンネルをデジタルでも引き続きアクセスできるよう配慮すべきでしょう。軍配は最終的に、ケーブルテレビとその視聴者に上がったのですから。

(記者:河村 崇)

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