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2008年06月20日(金) 12時07分

アキバ連続殺傷事件と路上露出事件を結ぶ点オーマイニュース

 秋葉原の歩行者天国は、6月8日に起きた連続殺傷事件の影響で、「一時的」に閉鎖されることが決まった。6月12日に千代田区という行政の判断で……。

 「一時的」がズルズルと延長され、いつの間にやら、「秋葉原=歩行者天国」がなかったことになり、既成事実化されるというお決まりのパターンになろう。サヨナラ、アキバのホコテン……。

 1人の男性が社会性を逸脱した犯罪行為を行って、7人が死亡し、10人が怪我を負った。アキバ連続殺傷事件として世間を騒がせ、「大ニュース」としてフランスやアメリカのメディアにも配信された。

 アキバという舞台で、社会性を突き抜けた男性が大暴れして、17人の犠牲者が出たら、「オタクの聖地」「アキバという文化」「パフォーマー(目立ちたがり屋)がタムロする街」が一蓮托生となって消されてしまう。

 自閉的なオタクと自己開放的なパフォーマーが何故か共存してた一区域が消え去る。歌舞伎町がいつのまにか「キレイ」に整備されてしまったようにアキバも健全で安全な街になる。

 私などが論評しなくても、メディアではアキバ連続殺傷事件やそれへの言論であふれ、適当な落としどころ(解釈)で決着することが予想される。

  1998年に、現職は京都造形芸術大学の浅田彰・学長による推薦文がオビについた現代思想書『存在論的、郵便的』(新潮社)をもって時代の寵児として言論デビューした東浩紀氏が、今回の事件後に朝日新聞に長めのコメントを寄せた。「時代のさきがけ」である東さんは、要約すると、(格差社会による)「疎外感」が暴発した「テロ」と事件を断ずる。何とも安易な評価か。

 アキバ連続殺傷事件に対する過剰報道の中で、本年4月20日に沢本あすかさんという自称22歳のグラビアアイドルが秋葉原歩行者天国で自らの下着を露出して人を集め、同25日に警察に逮捕され、翌日、保釈された……などという事件は些末なことに過ぎないのかもしれない。

 しかし、両者につながりがあるという指摘もある。産経新聞系のメディア・ZAKZAK6月10日配信記事によれば、アキバ連続殺傷事件の犯行男性が、職場の同僚に、沢本さん逮捕当時の画像を「これがつかまった露出狂のオンナだよ。見てみろよ」などと喜々として見せびらかしていたという。

 「路上露出パフォーマンス」をアキバのホコテンで実行して逮捕され全国デビューした女性と、アキバ連続殺傷事件で全国デビューした男性。何とも哀しい組み合わせである。

(記者:及川 健二)

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