2008年06月09日(月) 12時00分
有害サイト規制法案って何?その問題点とは?(R25)
インターネットの有害サイトに対する規制法が、今国会での成立を目指して議論されているのをご存じだろうか。規制には、自民・民主の与野党ともに概ね合意しており、何らかの規制がネットにかけられる可能性は高い。
この有害サイト規制は、基本的に青少年を対象としたものだ。たとえば、書籍や雑誌、ゲームなどの場合、青少年に有害と判断されると“有害図書”に指定され、18歳未満が手にしにくいような仕組みが作られている。これと同じような規制がネットにも適用できないか、というわけだ。…と、これだけ聞けば、まっとうな主張である。しかしこの法案をめぐっては、各所から反対意見が相次いでいた。いったい何が問題なのか。ITジャーナリストの津田大介氏に話を聞いた。
「まず、何をもって“有害”とするかという規定が難しい。たとえば、SNSなどのコミュニケーションサービスなどに有害情報が書き込まれたら有害サイトとして扱うのか。とくに当初の案では、こうしたサイトに規制が入る可能性が懸念されていました。現状、違法な情報を削除する機関はありますが、件数が多すぎて完全に機能しているとはいえない状態です。そう考えると、あいまいな上に対象が広い“有害”という基準に対処しきれるのか疑問が残る。また、有害サイトを機械的に閲覧できなくするフィルタリングの問題もある。フィルタリングの精度は上がっているとはいえ、一律に何が有害かを判断するのは困難です」
フィルタリングソフト会社では、主に機械を利用して情報収集するが、最終的な判断は人間が行う。すべてのサイトをチェックするのは物理的に限界があるのだ。
「もちろん僕自身も、このまま有害情報を野放しにしていいとは考えていません。ただ、拙速に法案を通す前に、議論するべきことは多いのではないでしょうか」(同)
果たして、健全なコミュニケーションをできるだけ阻害しない範囲で、実効性のある対策を打ち出せるのか。法案の意味が問われるところだ。
(R25編集部)
自民・民主、両党の有害サイト規制法案骨子の共通点を見る
※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです
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