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2008年06月01日(日) 12時12分

<疲れ目>パソコン作業で肩こり、視力低下など眼精疲労 対策は…(上)毎日新聞

 パソコンに向かって、黙々と画面を見る仕事の多い現代人。目を酷使する時間が長いだけに、一晩寝ても、目の疲れがとれないケースも多い。目の疲れのうえに頭痛、肩凝りなどの症状が続くようなら、眼精疲労を疑った方がよいかもしれない。眼精疲労にならないための対処法を知っておきたい。【小島正美】

【関連記事】 パソコン作業で肩こり、視力低下など眼精疲労 対策は…(下)

 ◆10分に一度、遠くを数秒−−軽い体操、十分な睡眠で予防効果

 ◇寝不足、ストレスでも

 パソコンの画面を長く見ていると、だれでも目が疲れることはある。しかし、大抵は一晩眠れば、翌日には疲れがとれている。単に目が疲れている場合は「眼疲労」だが、単なる目の疲れを通り越して、頭痛、肩凝り、倦怠(けんたい)感、めまい、吐き気、充血、視界がぼやける−−などの症状が伴うと、「眼精疲労」という病気だ。

 眼精疲労の症状は、「目の表面が乾くドライアイ」「白内障」「緑内障」「更年期障害」などでも生じるが、一般にはパソコンなど画像情報端末(VDT)に携わる仕事を長くしている人で起きやすい。パソコン操作は、ぼーっとテレビを見ているのと異なり、想像以上に目を酷使しているのを知っておきたい。

 目を酷使する時間が長く、さらに睡眠不足や精神的なストレスが重なると眼精疲労になりやすくなる。

 眼精疲労などの治療に詳しく、日本眼光学学会理事の梶田雅義・梶田眼科院長(東京都港区)は「眼精疲労は自然に治るのが難しい。目の疲れがとれずにそのまま無理して仕事を続けていると、やがて仕事ができなくなるほど症状は重くなる」と眼精疲労の症状があれば、早めに眼科医を受診するよう勧める。

 ◇メガネの度数に注意

 梶田医師が患者を診ていて、意外に目立つのがメガネやコンタクトレンズの度数が目に合っていないケースだ。

 ソフトコンタクトの度数を変えただけで、肩凝りも頭痛も治ったという20歳の女性のケースもある。遠くが見えるようにコンタクトの度数を合わせたまま、一日中、近くを見るパソコンの仕事を続けると目が酷使され、眼精疲労になる場合があるのだ。

 梶田医師は「一般にメガネの度数は遠くが見えるように合わせるが、それだけでは不十分だ。眼科医の診断を受けて、その人の目の屈折値に合ったメガネを選ぶ必要がある」と話す。

 夜中に目を酷使する受験生の場合、遠近両用のメガネの使用で目の疲れが劇的によくなる場合があるという。

 ◇緊張の連続で疲労

 なぜ、近くを見続けていると目が疲れるのだろうか。

 その鍵を握るのが、目の水晶体を調節する毛様体筋(図参照)。水晶体はカメラで言えば、レンズに相当する。近くを見るときは毛様体筋が収縮(緊張)して、水晶体が膨らむ。遠くを見るときは逆で毛様体筋が弛緩(しかん)する。

 近くを見続けて、毛様体筋が緊張しっぱなしになると、やがて緊張が解けなくなり、疲労が蓄積していく。毛様体筋などの血流も悪くなり、肩凝りなどにつながっていく。

 では、どうすればよいのか。

 梶田医師は「10分間に一度くらい、パソコンから目を離し、2、3秒、遠くを見て、毛様体筋の緊張を解くことが大事だ」と話す。

 1時間に2〜3分の休憩よりも、10分間に2〜3秒の小刻みな休憩の方が効果的だ。このほか、「薄暗いところで作業しない」「パソコン作業中でもときどきは軽く体を動かす」「毎日、十分な睡眠をとる」なども心掛けたい。

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