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2008年05月26日(月) 17時04分

長崎市長射殺 城尾被告に死刑判決「計画的犯行」と認定毎日新聞

 伊藤一長・前長崎市長の射殺事件で、殺人などの罪に問われた元暴力団幹部、城尾哲弥被告(60)に対し、長崎地裁は26日、求刑通り死刑を言い渡した。松尾嘉倫(よしみち)裁判長は殺害目的を「前市長の4選阻止」とし、動機は「市への不当要求が受け入れられなかったため」と認定した。

 判決によると、城尾被告は事件の5年前に約300万円あった預金が事件直前は約4万円にまで減り、困窮していた。金策に追われる中、市の融資あっせん制度や市道の自損事故処理に関する不当な要求を受け入れない市の対応に不満を募らせ、伊藤前市長に恨みを抱くようになった。

 判決は、殺意の形成時期を「前市長が出馬するのを知った直後」とし、出馬表明直後の昨年2月末ごろと認定。城尾被告は昨年4月初めから前市長の動向を調べ始めており「犯行は計画的で、殺意は強固なものと認められる」と述べ、「現場で前市長を見て殺意を抱いた」との被告・弁護側の主張を退けた。

 そのうえで「世の中を震撼(しんかん)させるような大事件を起こすことで、暴力団幹部の意地を見せようとした」と指摘。動機の背景に、暴力団特有の論理があったことに触れた。

 松尾裁判長はこの日、量刑にあたる主文の言い渡しを後回しにした。

 3月の論告で検察側は、東京都国立市の主婦殺害事件の最高裁判決(99年11月)を挙げ「犠牲者の人数が死刑選択の絶対的な基準でない。社会的影響が甚大などの理由から極刑を選択できる」としていた。

 さらに、選挙を混乱させた事実を挙げ「犯罪史上に例のない、民主主義の根幹を揺るがした選挙テロとも言うべき犯罪」と形容していた。【阿部弘賢】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080526-00000012-maip-soci