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2008年05月23日(金) 19時55分

「2ちゃん」でおカネが借りられる 素人装う「ヤミ金」業者の可能性J-CASTニュース

 「2ちゃんねる」などの掲示板に「ヤミ金」業者が一般人を装い侵入し、「おカネを貸します」などと勧誘しているらしい。「2ちゃん」には、「合法的に誰かが金を貸してくれるスレ」「破産・ブラックでも借りれる消費者金融」など、借金に関する膨大な数のスレッドが立っている。そうした中で、借り手が借金漬けに陥るトラブルが増えているのだという。

■必要事項を書きこむと「神」が現れる

 2006年12月に改正貸金業法が公布されて以降、消費者金融業者の淘汰が進み、生き残った消費者金融は与信基準を絞った。その結果、消費者金融から融資を受けられない人が増え、ヤミ金が増殖してしまった。そんな構造が経済誌などで指摘されている。そして、「2ちゃん」の場合、貸し手にヤミ金が混ざっているのだ。

 「2ちゃん」には、年利109.5%以下の利息で貸し、合法的に回収するという「合法的に誰かが金を貸してくれるスレ」がある。テンプレートに必要事項を書き、自分の窮状を公表。カネを貸してくれる「神」を待つ。注意書きには「良心的な貸し主は闇金とかかわりない」と書かれているが、実際はどうなのかわからない。このスレをきっかけに借金ができた「実績」も別枠で表示されている。借金は3万円など1万円台のものが多い。借金依頼のカキコミを見ると、27歳の男性は、「希望額が12万円、必要最低額3万5千円」と書いていて、借金の理由は「滞納家賃8万8千円を落としたから」などと説明している。

 債務整理問題に詳しい石丸幸人弁護士はJ-CASTニュースの取材に対し、法改正によってヤミ金業者が増え、インターネットの掲示板に出没するようになっているのは確かだ、と話した。

  「掲示板に出入りしているのは小さな業者で、3万円や5万円といった額を貸すことが多い。借りたカネは小額で高金利だから、借り手はすぐにカネが足りなくなってまた借金をする。それで、十数社から借りてしまって破綻、というケースもあります」

こうした状況に、石丸弁護士は警察の取締りを強化しなければならない、と強調する。

■「2ちゃん」はヤミ金の顧客予備軍?

 ITジャーナリストの井上トシユキさんによれば、02年頃からカネの貸し借りに関する多くのスレが「2ちゃん」で立ち始め、ヤミ金に関する研究や、多重債務回避法などが語られていたという。それがユーザー同士のカネの貸し借りに発展。さらにヤミ金業者が関わるようになったのではないか、と見る。

 最近のアングラビジネスはネット化、IT化が顕著だ。暴力団系のヤミ金システムでもコンピュータによる顧客管理が行われている。そういう連中から見れば、「2ちゃん」は顧客予備軍の膨大な巣窟と見えるだろう、と指摘する。

  「違法性が指摘され、実際に検挙事例が出るなどするまでは、新たなビジネスモデルとして継続され、どんどんやり方が洗練されていくのではないか」

と井上さんは心配している。


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