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2008年05月15日(木) 00時00分

橋下知事と平松市長、文化事業の補助金廃止巡って激論朝日新聞

 大阪市の平松邦夫市長と大阪府の橋下徹知事が15日、府の財政再建案をめぐり激論を交わした。普段はソフトな語り口の平松市長が、文化助成削減をめぐって「文化事業は大阪府全体の財産だ」と顔を紅潮させて反対論を展開すると、橋下知事もいすから半分立ち上がって反論。予定時間を15分もオーバーし、同席した府と市の幹部に止められるまでがっぷり組み合った。

大阪市役所を訪れた橋下知事(左)と平松市長は財政再建をめぐり激論を交わした=15日午後、大阪市北区、森井英二郎撮影

 会談では平松市長が「知事は医療費補助の削減は一定以上の所得がある人に負担をお願いするものだというが、実際には全対象者の負担が増える」と指摘。橋下知事も「一定の所得の人にまで今のままのサービスを提供することが、大阪としてできるのか」などと説明、冷静なやりとりが続いた。

 だが、一転、両首長の口調が激しさを増したのが文化論をめぐる議論の時だ。

 「今切れば、立て直すのに何年かかることか。財政だけでなく、文化をどう守るか考えてほしい」。平松市長は顔を真っ赤にして、大阪フィルハーモニー交響楽団などへの補助金廃止を思いとどまるよう訴えた。

 橋下知事は「府民が本当に残したいなら、(存続を求める)署名だけではなく、1人千円でも出して見に行けばいい」と持論を展開。平松市長が発言を遮り「知事の意見は暴論だ。大勢が支持したら残す、というように数で判断するのはやめて欲しい」と反撃すると、橋下知事は思わず立ち上がりかけ、「数で判断はしていません」。

 平松市長が最後に、府と市、経済界が計画した「水都大阪2009」事業の準備が、橋下知事の反対で中断していることに触れ、「一生懸命やってくれた経済界に謝りにいってほしい」とくぎを刺す一幕もあった。

 35分間の会談後、橋下知事は「有意義でした」と一言。平松市長も「つい声が大きくなったが、言いたいことはある程度言えた」とすっきりした表情をみせた。

http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200805150095.html